韓流ゴルファー、続々と2007年11月18日 福島県内のゴルフ場を訪れる韓国人が急増している。県や地元の市町村は、ゴルフ客を観光や国際交流につなげようと必死だが、日韓の文化的な違いから住民との間でトラブルも起きている。ただ、地元の大規模小売店が韓国人客の受け入れに成功する中で、これまで敬遠していた地元商工会などにも変化が見え始めた。
◇ 福島空港にソウル便が到着する月、水、土曜日の正午ごろ、国際線の到着ロビー前には十数台の大型バスが並ぶ。ゴルフ場の送迎バスだ。空港周辺の町村だけでなく、茨城や栃木など隣県から来たバスもあった。空港は、大きなゴルフバッグを抱えた韓国人でごった返していた。 「まるでゴルフ客のための空港です」と、福島空港ビルの宍戸修一常務。県のまとめでは、県内のゴルフ場を訪れた外国人は05年は7000人弱だったが、06年に2万6935人と急増。その99.6%が韓国人だった。なかでも、空港から近い矢吹町のゴルフ場には約6割が訪れたという。 県は「昨年から韓国の雑誌で県内のゴルフ場を紹介し、旅行商品の商談会でPRしてきた結果」と分析。韓国では数年前からゴルフ熱が過熱し、ゴルフ場開発が追いつかないという事情もある。料金面でも、矢吹町などのゴルフ場は韓国と比べて格安で、「飛行機代を入れても割安」と評判がいいという。 ただ、昨年の春ごろから韓国人ゴルフ客が増え始めた矢吹町の商店などでは、文化や習慣の違いからトラブルも起きたという。「大騒ぎすることもあり、地元客には迷惑」と立ち入りを断る居酒屋や温泉旅館もあった。 トラブル解決に前向きに取り組んできた店もある。同町のヨークベニマル・メガステージ矢吹店は現在、夕方になると大型バスが横付けされ、ゴルフ帰りの韓国人の団体客であふれる。 しかし、韓国人客が増え始めた昨年夏ごろは、対処の仕方に悩んだという。前店長の佐々木正春さんによると、レジを通る前に商品のビールを飲んだり、大声で話したりして他の客からクレームが来ることもあった。 いま、店内には所々にハングルの標記がある。揚げ物コーナーには「素手で取らないで下さい」、下着売り場には「袋を開けないで下さい」。レジには簡単な韓国語の会話集を備えつけた。これらはすべて、習慣の違いを解決するための工夫だ。佐々木さんは「最初は文化の違いで苦労したが、我々は売り上げてなんぼ。客層のひとつとして考えている」と話す。 ゴルフ場側も素早く対応した。ツアーバスの中で注意を呼びかけ、団体の中に守らない客が1人でもいれば店への出入りを禁止した。ゴルフ場の幹部は「実際に出入り禁止になった時は、みんなでルールを守るよう話し合ってくれた。我々も、地元があって初めて商売ができる」と言う。 同町を5〜6回訪れたという60歳の韓国人男性は「お互い多少のトラブルはあるが、文化の差はあって当然。今は慣れたから大丈夫」と話す。 町も受け入れ態勢を整備し、地域の活性化につなげようと動き出した。この秋以降、ハングルの観光パンフレットを作ったり、日本での観光や文化交流についてアンケートをしたりしている。 住民の側も積極的に受け入れようという動きが出始めた。町商工会では店や商品の案内パンフレットを作ったほか、団体が宿泊するホテルで町の土産物を販売することも検討している。同会の伊藤浩喜事務局長は「次々と韓国人客が入ってきているのに、指をくわえて見ている場合ではない。何とか町の活性化につなげたい」と期待を寄せる。 PR情報この記事の関連情報コミミ口コミ
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