長男・啓祐君の遺影（右）の傍らで訴える森美加さん（２月１０日午後、東京・港区で

　いじめなどを苦に自殺した子どもたちの遺族が集まり、いじめ根絶を訴えるシンポジウムが１０日、東京都港区で開かれた。昨年１０月、中学２年の長男を失った福岡県筑前町の森美加さん（３６）も参加。長男啓祐（けいすけ）君の名前と遺影を初めて公開し、「この笑顔を奪われない、いじめのない社会をつくりたい」と訴えた。

　森さんはこれまで、啓祐君と同じ筑前町立三輪中学校に今春進学する二男らを気遣って、啓祐君の名前などの公表を控えてきた。

　しかし、二男から「お兄ちゃんは何も悪いことをしていない。僕は胸を張って学校に行く」と言われたのがきっかけで、「こんな笑顔を見せる普通の子どもが自殺することや、いじめはどの子の周囲にもあることをわかってほしい」と名前と写真の公開を決意したという。

　森さんは壇上で、「助けてあげられなくてごめん」と遺影に語りかけ、涙を浮かべながら、約１０分間にわたって思いを語った。

　啓祐君の死後、「息子が自らの死を通して何を訴えたかったのか」と悩み抜いた。そして、「息子はみんなが幸せに暮らせることを願っていたはず」との結論に達したことを明らかにし、「啓祐を守れなかった私たちの無念さと、同じ思いをする人が出ないよう努力していきたい」と話した。