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全盲男性置き去り病院、別の患者も連れ出し◆車で駅前へ、退院させる 全盲の患者男性(63)が9月下旬、公園に置き去りにされる事件があった「新金岡豊川総合病院」(堺市北区)で、8月下旬にも、職員3人が糖尿病で入院していた住所不定の別の無職男性(54)を行き先も決めないまま車に乗せ、退院させていたことがわかった。男性は大阪府岸和田市の南海岸和田駅前で降ろされた後に119番通報し、救急隊員に「病院職員に無理やり連れてこられた」と訴えていた。病院側は「退院は合意のうえだった」と反論しているが、退院手続きが不適切だったことは認めている。 一方、堺市保健所は、この問題について、10月中旬、通報を受け、病院側の退院手続きに不備があったとして改善を指導した。 同病院によると、男性は昨年12月ごろ、他の病院から転院してきた。生活保護を受給しており医療費滞納はなかったが、病室で大声を出すなど他の患者とのトラブルも多かったという。 病状は比較的安定しており、主治医が退院を認めたため、看護部長ら職員3人が8月23日、男性を病院の車に乗せ、南西約20キロの岸和田駅前で降ろした。所持品のかばんや生活用品を入れた段ボール箱は職員がベンチに置き、「元気でやって」と声をかけて別れた。 出発時に行き先は決まっておらず、職員らは車の駐車方向だった南へ向けて発進、降車場所は車中で男性と相談して決めたという。 駅で降ろされた男性は、約1時間後に119番通報。駆け付けた救急隊員に保護を求め、救急車で別の病院に運ばれた後、さらに別の病院に入院した。 男性は退院後の11月7日、堺東署を訪れ、「無理やり駅に連れて行かれた。病院を訴えたい」などと申し立てていた。 読売新聞の取材に、病院側は「走行中、男性が『姉が大阪・ミナミにいるので近くの駅で降ろしてほしい』と言った」と主張する一方、「家族と連絡を取らず、行き先も決めずに退院させたのは問題で、配慮が足りなかった」としている。 これに対し、男性は「精神的にも参っており、もう少し病院に置いてもらいたかったが、両脇をつかまれて強制的に車に乗せられた」と憤慨している。 ◆増える「社会的入院」、病院側の負担重く 西九州大の坂田期雄(ときお)客員教授(社会福祉)の話「病院経営が大変な時代だけに、身寄りがないなど、医療以外の理由で入院を続ける『社会的入院』は病院側にとって大きな負担になる。病院内での生活にうまくなじめない患者もおり、現行システムでそうした患者に対応するのは極めて難しい。今後、家族のいない高齢者がさらに増えるのは確実で、国は医療、介護などの総合的な対策を考える中で、社会的入院に対処するための新たな機関設置などを検討する必要がある」 (2007年11月18日 読売新聞)
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