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【主張】新型インフル対策 ワクチン問題の解決急げ

2007.11.18 02:39
このニュースのトピックス感染症

 多くの人の命を奪う「新型インフルエンザ」禍に備え、厚生労働省など20府省庁と千葉県が参加した総合訓練が行われた。徳島県が協力した今年2月の総合訓練に続いて3回目である。

 政府は、こうした訓練を重ねて「新型」対策を具体的に点検し、問題点が見つかれば、すみやかに解決していかなければならない。効果的な危機管理に不可欠の作業である。

 1918年のスペインかぜ、57年のアジアかぜ、68年の香港かぜと過去3回、新型が発生している。

 新型は鳥インフルエンザから生まれる。とくに「H5N1」(ウイルスのタイプの1つ)と呼ばれる鳥インフルエンザは、東南アジアや中国などでいつ新型に変異してもおかしくない段階にきている。インドネシアの感染者と死者の数は世界最多である。

 新型が発生すると、人から人へと次々に感染してパンデミック(大流行)を引き起こし、世界で最大7400万人、日本国内で最悪64万人が感染死するという。しかもH5N1ウイルスは毒性が強い。被害は深刻となる。万全の対策が求められるゆえんだ。

 対策の大きな柱はワクチンである。しかし、ワクチンは新型が発生しないと製造に着手できないし、量産までに半年はかかる。このため、政府は本格的ワクチンが供給できるようになるまで、タミフルなどの抗ウイルス剤や鳥インフルエンザウイルスからつくったプレパンデミック(大流行前)ワクチンで時間を稼ぐ作戦を立てている。

 ところが、肝心のタミフルは、服用した子供たちの飛び降りなどの異常行動と薬との因果関係が十分に解明できず、評価が定まらない。10代に対する処方は原則中止されたままだ。厚労省はタミフルの副作用を解明したうえで、新型に対する治療にどう使っていくかを早急に示す必要がある。

 一方、プレパンデミックワクチンは、変異が進み人に感染しやすくなったインドネシアのH5N1ウイルスからつくるのが最適とされるが、同国政府は「見返りがない」と、このウイルスの検体の提供を拒んできた。

 検体は変異の監視にも不可欠だ。インドネシアに対し、各国が世界保健機関(WHO)を通じて説得を続け、早期全面解決を目指すべきである。

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