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“脳死”とされた子供、自発呼吸や脳波復活「脳死」「脳死に近い」などと絶望的な診断を受けた後、何年も生き続ける子どもたちがいる。読売新聞は、そうした超重症児の家族にアンケートを実施した。回答の中で、診断時に脳機能の兆候が消失していた子どもは8人いたが、その後全員、身長が伸び、うち5人は自発呼吸や脳波、刺激への反応のいずれかが復活していた。“長期脳死”と言われる子どもらの詳しい調査は例がなく、診断のあり方や治療方針の決定方法に一石を投じそうだ。 アンケートは、人工呼吸器をつけた子を持つ親の会や小児科医らを通じて依頼。出産時のトラブルや事故、脳炎などで重い脳の障害に陥り、人工呼吸器を装着した14人(存命9人)の家族から回答を得た。 この中で診断の際、自発呼吸、脳波、刺激への反応などが見られなかったのは8人(存命5人)。 正式な脳死判定に必要な無呼吸テストを受けた例はないが、関東の男児(8)と神戸市の男児(4)は、それ以外の厳密な検査を経て「臨床的脳死」と診断された後、それぞれ7年、2年半を超えて生きている。関東の男児は近年、鼻の粘膜に吸引用の管が当たると痛そうに体を動かすという。 静岡県の男児(11)は6歳の時にひき逃げ事故に遭い、「脳死に近い状態」として人工呼吸器の取り外しを勧められた。しかし2か月後に自発呼吸が戻った。 今年4月に4歳で亡くなった奈良県の男児も、2歳の時に各種検査を経て「成人で言えば脳死状態」と言われた3日後に自発呼吸が復活。快不快のような表情の変化も出たという。 8人とも身長は明らかに伸びていた。4人は体温調節機能が改善し、歯が生え替わった子も4人いた。 8人以外は、呼吸や脳波が少しあるのに「脳死に近い」「元に戻らない」と言われるなど、もともと脳死とは考えにくいケース。 「脳死は人の死か」を問うと、13家族が「生きている」と回答。1家族は「答えは出ていない」とした。 小児の脳死判定基準の作成に携わった杉本寿・大阪大教授(救急医学)の話「きちんと検査もせずに『脳死』という言葉を使う医師が多く、問題がある。自発呼吸が復活した3人は、脳に影響する薬などを考慮していたか疑問だ。脳死の定義はすべての脳細胞の死滅ではないので、体は成長する」 田中英高・大阪医大准教授(小児科)の話「8人は現場で脳死として扱われがちなケース。体の成長は脳下垂体のホルモン分泌、体温調節の回復は視床下部の機能をうかがわせる。現行の判定基準に限界がある可能性も否定できない」 (2007年11月18日 読売新聞)
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