死と向き合った遺族の1年
死と向き合った遺族の1年 10/11 19:35

「いじめられてもう生きていけない」福岡県筑前町の男子中学生が、自ら命を絶ってからきょうで1年となります。

遺族はこの一年、愛するわが子の突然の死とどのように向き合ってきたのでしょうか。

息子が自ら命を絶った自宅の倉庫。

その目の前にきょう両親が桜の木を植えました。

息子が亡くなった季節に花をつける十月桜。

法名から1文字を取って響の樹と名前を付けました。

筑前町立三輪中学校の2年生だった森啓祐さんは、一年前のきょう、「いじめられてもう生きていけない。」という遺書を残して自ら命を絶ちました。
いつもどおりの平日の朝。

森さんの自宅には、美加さんの声が響きます。

こうして路上まで出て見送るのは、啓祐さんが亡くなってからの習慣です。

息子はなぜ死を選ばなければならなかったのか。

真相を知りたい、その一心で両親は、この一年をすごして来ました。

啓祐さんが亡くなってから2ヵ月後、筑前町が設置した調査委員会は、自殺の原因は、「生徒間のいじめ」であると認定しました。

「死ね」、「うざい」、日常的にこのような言葉を浴びせる陰湿ないじめだったこともわかりました。

法務局は、学校としての取り組みが不十分だったとして、当時の校長と1年生の時の担任に再発防止などを求める「説示」を行いました。

また、いじめを行っていたとされる同級生3人は暴力行為法違反の非行事実で書類送検され、福岡家庭裁判所で少年審判を受けました。

両親は、このいじめ問題を調査していた福岡法務局に対して、調査内容を公開するよう求めています。

しかし、これまでの例では、プライバシーの保護を理由に情報はほとんど開示されていません。

美加さんは、いじめで息子を亡くした母親として全国でいじめ根絶を訴えています。

最愛の息子が自ら命を絶ってから一年、今も癒える事のない痛みを胸に、両親は啓祐さんの思いを伝えていこうとしています。