【コラム】
Windows Vistaスマートチューニング
(11) アプリケーションの互換性設定をレジストリ操作で行う
2007/02/28
こんにちは。阿久津です。早いものでもう2月も終わり、Windows Vistaがプリインストールされたコンピュータも少しずつ登場してきました。しかし、そのなかには販売価格を抑えるためなのか、物理メモリが512MB程度しか実装されていないデスクトップPCや、パフォーマンスに首をかしげざるを得ないGPUを実装したノートPCなども盛りだくさん。
もちろん万人が最速のGPUや、多数の仮想環境を満足に扱える大量の物理メモリを必要としないのは言うまでもありませんが、Windows VistaをWindows XPと同じようなパフォーマンスレベルに近づけるには、やはりVista Premium Readyで定義されているシステム要件を満たしているべきではないでしょうか。
もっとも、このような仕掛けはWindows XP時代も同じように多く見かけました。当時も発売当初は、Windows 2000が動作する安定スペックをベースにしたノートPCに、そのままWindows XPがプリインストールされていたように記憶しています。
本連載でも何度か述べていますが、低スペックコンピュータへのWindows Vista導入は、物理メモリを256MB程度しか実装していないコンピュータにWindows XPをインストールするようなもの。全体的なパフォーマンスは元より、クイック検索によるファイル・フォルダ検索や、アプリケーションのタスク切り替えなど、様々な面でフラストレーションを溜めることになるでしょう。
本連載をご覧になっている方には釈迦に説法かもしれませんが、新規コンピュータの導入予定がある場合、スペックがVista Premium Readyを満たしていることを事実上の最低条件にお選びください。かく言う筆者は、HHD(Hybrid Hard Disk)と利便性の高そうなWindows SideShowデバイスを実装したモデルを待っているのですが、いつになることやら……。
閑話休題。Windows Vistaに限った話ではありませんが、過去のWindows OSと互換性を保つため、ショートカットアイコンなどのプロパティダイアログには、互換性を維持するための<互換性>タブが用意されています。これらの設定はプロパティダイアログからすべて行なえますが、複数台のコンピュータを併用している方の場合、設定済みの内容を他のコンピュータで使用する場面も訪れるのではないでしょうか。そこで、今週は、互換性情報の確認および設定手順をご紹介します。
- <スタート>メニュー→クイック検索に「regedit」と入力して[Enter]キーを押す。
- レジストリエディタが起動したら、HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\AppCompatFlags\Layersまでキーをたどって開く(ない場合は作成)。
- <編集>メニュー→<新規>→<文字列値>と選択し、値の名前を設定する実行ファイル名のフルパスに変更する。
- ステップ4で作成した文字列値をダブルクリックで開き、データ値を「WIN95」に書き換えて、<OK>ボタンをクリック。
- [F5]キーを押して変更内容をシステムに反映させてから、レジストリエディタを終了する。
これで設定完了です。ポイントはステップ3で行なう文字列値名。たとえば、Program Filesフォルダ下の「foo」フォルダにある「bar.exe」の設定を行なう場合、文字列値名は「C:\program Files\foo\bar.exe」となります。ステップ4で設定できる項目は多数あるため、下記の表にまとめました。たとえばWindows 95互換モードで256色に制限する場合は、「WIN95 256COLOR」とスペースで区切って設定しましょう。
データ値に設定できる内容
データ値 | 内容 |
---|---|
WIN95 | Windows 95互換モード |
WIN98 | Windows 98/Me互換モード |
NT4SP5 | Windows NT 4.0(サービスパック5) |
WIN2000 | Windows 2000 |
XPSP2 | Windows XP(サービスパック2) |
WINSRV03SP1 | Windows Server 2003(サービスパック1) |
データ値 | 内容 |
---|---|
256COLOR | 256色で実行する |
640X480 | 640x480の解像度で実行する |
DISABLETHEMES | 視覚テーマを無効にします |
DISABLEDWM | デスクトップコンポジションを無効にする |
HIGHDPIAWARE | 高DPI設定では画面のスケーリングを無効にする |
RUNASADMIN | 管理者としてこのプログラムを実行する |
また、アプリケーションのプロパティ画面上<互換性>タブ内にある<すべてのユーザーの設定を表示>ボタンで開く画面から設定した内容は、HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\AppCompatFlags\Layersに格納されます。あらかじめ全ユーザーに対して設定を行なうときは、ステップ2で開くレジストリキーを前述のキーに差しかえてください。
それでは、また次号でお会いしましょう。
阿久津良和(Cactus)
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