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終戦前後に旧日本軍が中国で遺棄した毒ガス兵器の処理事業をめぐり、受注した大手建設コンサルタント会社「パシフィックコンサルタンツインターナショナル」(PCI、東京)グループ企業で不正な会計処理が行われた疑いがあるとして、東京地検特捜部は十七日、特別背任容疑で関係先を家宅捜索、強制捜査に乗り出した。
同社グループ企業は国から三百億円以上に上る関連事業を請け負っており、特捜部は今後、押収した関係資料を分析、資金の流れなど疑惑の全容解明を目指す。
捜索場所は、東京都港区にあるグループ企業「遺棄化学兵器処理機構」、千代田区の「パシフィック事業開発」など。
関係者によると、同機構が二〇〇四年度以降、内閣府から受注した中国での毒ガス兵器処理に関連する事業をPCIなどに委託する過程で、一部のグループ幹部らが約一億円を不正に流用していた疑いがあるとされる。
同機構は〇四年三月設立。〇四年度から本年度までに内閣府から計約三百億円の業務委託を受けた。いずれも随意契約で、理由について〇五年四月の政府答弁書は「長期間埋設された大量の遺棄化学兵器を処理するもので、世界に前例のない知見、技術を新たに蓄積しながら進める特殊性があり、業務の委託先として他社への代替は困難だ」と説明している。
中国の遺棄化学兵器 日中戦争の終結前後に、旧日本軍が中国国内で遺棄した致死性のイペリットなどの毒ガス兵器。30万―40万発が吉林省敦化市ハルバ嶺に集中して埋められたといわれる。戦後、建設現場などで作業員らが毒ガスに触れ死傷する事故が相次ぎ、中国側の通報を受け1991年、処理に向けた政府間交渉が開始。97年発効の化学兵器禁止条約により、日本に廃棄処理が義務付けられた。担当部署として、内閣府に遺棄化学兵器処理担当室が設置されている。
PCIの企業グループ 2000年設立の持ち株会社パシフィックコンサルタンツグループ(PCIG)を親会社とする建設コンサルタント大手で、国内事業中心のパシフィックコンサルタンツ(PCKK)と政府開発援助(ODA)など主に海外部門を担うパシフィックコンサルタンツインターナショナル(PCI)の2社を中核とする企業グループ。PCKKは1954年に設立され、従業員約1300人で昨年9月期の売上高は約350億円。69年設立のPCIは従業員約200人、昨年9月期の売上高は約120億円で、ジャカルタやマニラ、バンコクなどアジアを中心に海外事務所を置いている。
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