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【愛知】医療ミス、過酷な勤務も一因か 名古屋5病院で防止策検討2007年11月17日 名古屋市立城西病院(中村区)で起きた医療過誤を受け、市は16日夜、市内5病院の病院長や看護部長、診療科部長ら責任者を集め事故の原因や防止対策を話し合った。勤務歴20年以上のベテラン看護師(42)が犯した医療過誤について、同病院は「単純なミス」というが、その背景には過酷な勤務実態があると指摘する関係者も少なくない。 (豊田雄二郎) 会合では、城西病院の看護部長らが事故経過を報告。各病院の責任者が意見を出し合い、似た器材は絶対に近くに置かない、器具を取り換えた後は必ず不具合が起きていないか患者の様子を見るなどのマニュアルを早急に作成し、各病院で徹底することなどを決めた。 事故が起きた15日、この看護師は午後4時45分から翌日午前1時までの「準夜勤」だった。市によると市立病院は平均して月に計8回、この準夜勤か、未明から朝まで働く「深夜勤」がある。 「現場からはいつも夜勤がきついという声を聞く。だから(勤務が)長続きしないし、人が少ないので、妊娠していても夜勤に入らないといけない」と市職労の中川悟書記長は現場の声を代弁する。 関係者によると、昨年4月の診療報酬改定以来、全国の病院による看護師の“争奪合戦”が始まった。単純に看護師の数が多いほど、病院の収入も増えるシステムに変わったからだ。「東大病院を頂点に争奪合戦が繰り広げられ、名市大系の市は後塵(こうじん)を拝しているのが実態」という。市病院ではここ2年続けて100人強が退職し、補充が追いつかない状態が続いている。 市病院で本来、必要な看護師計980人に対し、現在は41人が不足。ただ、今月末に締め切る看護師募集も現時点で応募がゼロ。市は今後も毎月募集する考えだが、今春、やむなく休止した東病院(千種区)と緑病院(緑区)の計2病棟は再開のめどすら立たない状態だ。 「給与面だけでなく、魅力ある職場づくりを進めたい」と市の西川徹職員係長。期待を寄せるのは、予算原案の作成や柔軟な給与体系ができるようになる来年4月からの病院局新設。「事故防止も含め、いろんな知恵を出し合って、考えてゆくしかない」と話す。 【事故の経過】 亡くなった女性(72)は重い肺炎を患い、9月に気管を切開。呼吸やたんの吸引がしやすいようチューブ式器具を装着していたが、看護師はこの器具を取り換える際、息を吸えても吐くことのできないタイプの器具を誤って装着し、窒息死させたとされる。
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