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【社会】

成田『乗り継ぎ』で密航 ブローカー暗躍 中国人ら欧米に入国

2007年11月17日 13時44分

密航の舞台にされた成田空港の乗り継ぎエリア

写真

 成田空港の乗り継ぎエリアで中国人らが偽造旅券を使い、日本人になりすまして欧米に不法入国を図るケースが後を絶たない。入国審査を受けずに素通りするため摘発は困難で、航空会社が搭乗口で旅券の再チェックなどをしているが、密航グループも行き先を転々と変えており、いたちごっこが続いている。

 千葉県警は今年六月から七月にかけて、中国人の女二人の密航をめぐる詐欺容疑で、日本人の密航ブローカーら四人を逮捕した。調べでは、ブローカーらは中国から送られた密航者の写真を使い、日本人名義の旅券を偽造。密航者の分もチェックインをし、成田に到着した密航者と乗り継ぎエリアで落ち合い、偽造旅券を渡していたという。

 日本や中国などにまたがる組織的犯行とみられる。欧米では、日本人への入国審査が中国人らに対する審査より厳しくないことに目を付けたらしい。

 同様の手口の密航が広まったのは二〇〇一年ごろで、当初は米国線で急増。航空会社は搭乗口で旅券をチェックし、入管も乗り継ぎエリアを巡回して対策を強化した。

 入管の統計では、成田の乗り継ぎエリアで見つかった偽造旅券は、昨年は二百十五件。ここ三年間は二、三百件台で推移している。

 千葉県警は今回、偽造旅券の名義からブローカー逮捕にこぎ着けた。しかし、捜査員は「日本の入国審査を受けないし、偽造旅券が見つかっても名義人が実在するとは限らない」と、摘発の難しさを指摘する。

 航空会社によると、米中枢同時テロの後、米国の入国審査が厳しくなると、今度は英国で同様の手口の不法入国が見つかった。英国が警戒を強めるとドイツ、次はフランスと次々に発覚。さらに今年は、ハワイやグアム線でも発覚しているという。密航グループが入国審査を強化した国を避け、渡航先を変えているとみられる。

 成田空港には米国とカナダの職員が常駐しており、密航者発見に力を入れている。空港関係者は「密航を防ぐためには、さらなる国際的な協力の強化が必要」と話している。

(東京新聞)

 

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