◇分娩増加で
県立中央病院(出雲市)は早産や帝王切開が必要なハイリスクの患者への対応能力を維持するため、来年1月以降、出産予約の制限を始める。同病院は県内唯一の総合周産期母子医療センターの指定を受けているが、近年は県内の分娩(べん)施設の減少や里帰り出産の増加で、通常分娩への対応も急増。分娩受け入れを制限することで、同センターとしての機能を維持することが目的だという。
予約を制限するのは、里帰り出産などで途中からの受診となったり、同病院での初診が遅かったケース。妊娠初期から通院する妊婦や、他の病院からの紹介者、早産などハイリスク出産には、従来通り対応する。
里帰り出産の増加、妊婦の総合病院志向などで、同病院では00年度以降に産婦人科での出産対応が急増。年間900件前後で推移していたが、06年度は1099件と1000件を越えた。40床ある産婦人科病床は満員状態が続いているという。
一方で、同病院の産婦人科医は9人(うち3人は嘱託)。06年には総合周産期母子医療センターに指定され、出産のうち4分の1が帝王切開で、常に重症の妊産婦や新生児、緊急時への対応も求められている。
岩成治・母性小児診療部長は「物理的にセンターとしての機能に限界がきている。医師も足りない中で、これ以上分娩取り扱いが増えると、安全確保が困難になる」としている。【細川貴代】
毎日新聞 2007年11月17日