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リタリン無資格処方:東京クリニック、院長交代後も処方 診断名変え

 向精神薬「リタリン」の処方を巡り16日に医師法違反(無資格医業)の疑いで警視庁の捜索を受けた「東京クリニック」(東京都新宿区)が、伊澤純元院長(37)=厚生労働省が医業停止処分=から別の院長に交代した9月中旬以降も、リタリンを不適切に処方している疑いがあることが分かった。地元保健所には、患者の家族や調剤薬局から苦情や相談が55件寄せられている。伊澤元院長は、辞任した後もクリニックに出入りしているといわれ、警視庁が運営実態を調べている。【精神医療取材班】

 伊澤元院長は9月16日付で新宿区保健所に廃院届を提出した。しかし、翌17日付で、別の男性医師が同じ名称のクリニックの開業届を出し院長になった。同保健所によると、苦情や相談は院長が交代した9月17日から11月15日までの約2カ月で、患者や家族から17件、調剤薬局から38件の計55件に上っている。

 院長の交代に当たり、都や保健所はリタリンを安易に処方しないよう強く要請、男性医師も「クリニックの運営を正常化したい」と約束したという。しかし、交代直後から「息子がリタリン依存になるおそれがあるのに処方をやめない」などの苦情や相談が相次いだ。このため、保健所が10月23日、クリニックに立ち入りし、「リタリンの処方は問題」と指導した。

 ところが、リタリンについて厚労省が適応症からうつ病を削除し、ナルコレプシー(睡眠障害)だけに使えるように正式決定した10月26日以降も、苦情や問い合わせが殺到。ほとんどが調剤薬局からで「以前はうつ病でリタリンを処方されていた患者の診断名が、ナルコレプシーに変わっている」との内容だった。

 事態を重く見た保健所は今月13日、改めて緊急の立ち入り検査を実施し、再度リタリンの処方を見直すよう指導した。都や保健所の担当者は「うつ病だとリタリンを処方できないため、ナルコレプシーと偽って診断名を書いた可能性がある」とみている。

 東京クリニックを巡っては、都などが院長交代直後の9月18日、医療法違反(不適切な医療の提供)の疑いで立ち入り検査に入ったが、その際も辞任したはずの伊澤元院長が診療していたことが判明。伊澤元院長は患者に対する傷害などの有罪確定を受け、厚労省から10月15日付で医業停止2年の行政処分を受けたが、それ以後も度々、同クリニックに出入りしていたことが患者らに目撃されている。

毎日新聞 2007年11月17日 東京朝刊

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