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東京 裁判 NA_テーマ2
国家賠償請求裁判で明るみに出た家宅捜索の実態  闇の権力の正体(2)
2007/11/15

前回記事:国家賠償請求裁判を知っていますか? 闇の権力の正体

 前回の記事で、私たち杉並区住民4人への警視庁公安部による不当な家宅捜査に対し、東京地裁民事部に提訴した国家賠償請求裁判の6年間の闘いの概略を、お話しました。

 原告の4名は、結柴(けしば)誠一・現杉並区議会議員と元「都政を革新する会」後援会会長のクリーニング屋さんと、前身の東京通信工業の時代から関わってソニーの基礎を作られた79歳の技術者、元「都政を革新する会」後援会事務局長をやっておりました私、山崎です。

 この国賠裁判で私たちが告発していることは、主に2つの点です。

 一つは、2001年6月5日の「都政を革新する会」(長谷川英憲代表、結柴誠一事務局長)の事務所に対する、機動隊を動員しての警視庁公安部による暴力的な家宅捜査は、朝日新聞やフジテレビに事前に情報を流し、家宅捜査時点で取材が出来るように事前準備させて報道させたものでした。

 この日の「都革新」事務所の家宅捜索は、かつて「オウム真理教」の山梨の拠点、サティアンを機動隊が強制捜査した時と同じ恐怖のイメージで、朝日新聞とフジテレビが報道しました。

 この時期は、原告の結柴(けしば)誠一・現杉並区議が2001年6月15日公示、25日投票の「都議会議員選挙」に立候補しており、彼のイメージを低下させ、落選させようとして選挙妨害をしたのです。

 選挙妨害はこの他にも、長谷川英憲代表が都議選に立候補して選挙戦を闘っていた際にも、「都革新」の支持者宅に「爆弾事件で使用された爆弾の部品」が隠されていたとマスコミに大きく報道させた事件がありました。

 結局、「都革新」の支持者宅に置かれていたのは「爆弾の部品」などではなく、ただの書類で、逮捕された「都革新」の容疑者は20日後に不起訴となり、釈放されました。

 この事件も、マスコミを使った警視庁公安部による悪質な選挙妨害だったわけです。

 この裁判で私たちが告発している二つ目は、原告のクリーニング屋さんと元ソニーの技術者と私たち杉並区住民3名に対する家宅捜査が、全くの違法捜査であったことです。

 当時、私たちは「都革新」を積極的に支持・応援しておりましたので、警視庁公安部は、我々を弾圧して活動を止めさせたり、「都革新」から離反させようとしました。

 「中核派が起こした」(公安部の主張)と思われるゲリラ事件と、何の関係もない私たちとを無理やり結び付けて、家宅捜査を強行したのでした。原告のクリーニング屋さんは計11回、元ソニーの技術者は3回、私は1回の家宅捜査を受けました。

 警視庁公安部は、私たち3名が「中核派や中核派の傘下団体」(公安部の主張)の主催する集会やデモに、「中核派活動家」と共に参加した事、私が「都革新」の長谷川秀憲代表の立候補した2000年の衆議院選挙の応援演説を街頭でしたことをもって、「中核派活動家」であると断定しました。

 「中核派」が「犯行声明を出した」(公安部の主張)とされる2000年8月の「運輸省幹部宅車両爆破事件」と私たちを結びつけ、「中核派活動家」であるから「爆破事件に結びつく証拠があると認められる」(公安部の主張)ので、東京簡易裁判所発行の「捜索差し押許可状」をもって3名の自宅と1名の職場を家宅捜査したのです。

 私たちが参加した集会には、例えば2000年11月5日に日比谷公園野外音楽堂で開催された「11.5全国労働者総決起集会」がありますが、呼びかけが3組合(港合同、千葉動労、全国一般生コン)で、労働組合員や一般市民約6,000人が参加した集会でした。

 警視庁公安部は、参加者6,000名はすべて「中核派活動家」と断定出来るのでしょうか?

 要するに、警視庁公安部は、「危険団体」や「危険人物」と彼らが勝手に判断した団体や市民を、「極左暴力集団」(公安部の主張)や「その直接指導を受ける傘下団体活動家」と断定し、なんら具体的証拠がないにもかかわらず、「極左暴力集団」(同部の主張)が起こしたとされる何らかの事件と結びつけて、「活動家であるから事件に結びつく証拠があると認められる」として、事務所や自宅や職場を家宅捜査をしたわけです。

 こんな違法行為が、裁判所発行の「捜索差し押許可状」の下で許されるのでしょうか?
 戦前の日本は、治安維持法の下、特高警察が体制批判者のみならず、一般国民も逮捕し拷問し、殺したり、刑務所送りなどをしました。戦後の民主憲法第35条は「住居侵入・捜索・押収に対する保障」で、「捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行う」と明記しています。

 ウソをでっち上げて、裁判所に発行させた「家宅捜査令状」を執行するのが同じ「司法官権」である場合、誰が歯止めをかけて職権乱用を阻止できるのでしょうか?

 先週、被告側証人3名の証人尋問がまる一日かけて東京地裁民事部で行われました。当日、地裁6階の廊下の隅に公安部の私服が2名立って、傍聴人の確認をしていました。

 被告側証人は3名で、全員、私たちの家宅捜査の「捜索差し押許可状」を東京簡易裁判所に申請した警視庁公安部1課の刑事たちです。

 当時は3名とも警部でしたが、6〜7年たった今は全員、警視に昇格しています。「極左暴力集団」(公安部の主張)担当の刑事の昇進が早いのは、何なのでしょうか?

 最初の証人の高橋孝夫警視は、現在、警視庁公安部総務課勤務で40代半ばの、見るからにキャリア官僚の様子です。彼は、2001年6月5日の「都革新」事務所の家宅捜査の「捜索差し押許可状」を東京簡易裁判所に申請した人物で、しかも当日、現場の指揮を取った責任者でした。

 彼は、3名の被告側証人の中で一番ソツなく我々の反対尋問に答えていました。彼は自分の番が終わっても最後まで傍聴していました。警視庁公安部の意思決定に加わる幹部の1人だと思われます。

 2番目の証人は、井出友一警視といい、私の自宅への「捜索差し押許可状」を東京簡易裁判所に申請した、当時、警視庁公安部1課の刑事です。年齢は55〜60歳くらいで、現在は福生署の警備課長をしています。警察官歴39年、公安歴は29年といっていました。3番目の証人は、藤代眞義警視といい、井出友一警視とほぼ同年代で現在、両国署の警備課長をしています。

 原告の1人である、元「都革新」後援会長のクリーニング屋さんは、約12年間の間に計11回の家宅捜査を受けましたが、藤代眞義警視を中心に実行したことが初めて分かりました。警察歴40年、公安歴19年と言っていました。

 被告側証人尋問は、まず、被告側代理人の東京都法務部の法務官僚が各証人に尋問したのですが、彼らが証人の口を借りて一番強調したかった事は、次の4点でした。

1.「中核派」が極めて暴力的で反社会的な集団であること。

2.「都革新」は「中核派」が直接指導する「傘下団体」であること。

3.原告4名は、集会やデモに参加しているので「中核派幹部」と「中核派活動家」であること。

4.「中核派活動家」であるから「中核派が起こしたと認められる事件」(公安部の主張)に「結びつく証拠があると認めらる」から事務所や自宅や職場を家宅捜査をしたのであり、合法であること。

 私たちの反対尋問は、3名の弁護士さんが(西村弁護士、荒木弁護士、浅野弁護士)が順番に各証人を尋問し、途中で証人と特に関係の深い原告が直接尋問する形式を取りました。私は、私の自宅への「捜索差し押許可状」を東京簡易裁判に申請した井出友一警視に直接尋問しました。

 以下、私のいくつかの質問と彼の答えです。

≪質問≫
 私を「中核派活動家」と認定したわけですが、同じ集会やデモの参加者は全員「中核派活動家」なのですか?

≪答え≫
 中核派活動家も中にいました。

≪質問≫
 「中核派活動家」と「中核派支援者」、「都革新活動家」と「都革新支援者」との違いは何なのですか?それらの定義を言ってください。

≪答え≫
 「中核派活動家」を認定する定義はありますが、捜査手法に関わりますのでここではお答えできません。

≪質問≫
 私と、私となんら関係ない「中核派の犯行声明」(公安部の主張)が出されというゲリラ事件とを結びつける具体的な証拠が、何かあるのですか?

≪答え≫
 山崎さんが「中核派活動家」であり、「ゲリラ事件に関する証拠品を持っていると認めた」から家宅捜査に入ったのです。

 荒木弁護士の尋問に対して、井出友一警視は面白い答えを出しました。

≪質問≫
 山崎さんの自宅の家宅捜査をする前に、本人の動向調査などやられたのですか。

≪答え≫
 やっていません。

≪質問≫
 山崎さんの仕事が何か知っていましたか?

≪答え≫
 確か、クリーニング屋さんでした。

 要するに、何の証拠も出てこないことを前提に、何の準備もしないで家宅捜査していることがこれで分かりました。

 裁判は、来週水曜日(11月21日)にもう一回、前回時間切れで出来なかった被告側証人1人(公安刑事)の証人尋問があります。その後2回ほどの弁論があり、来年3月までには一審判決が出るのではないかといわれています。

 ところで、前回の記事に対して、ある読者から「国民は公安をもっと知るべきです」との下記のようなコメントをいただきました。

 ≪国民は公安をもっと知るべきです。公安は本当に正義の味方なのか?我々平和を望む日本国民は、FBIフーバー(元長官)のような闇勢力を求めない。正義の味方でないのなら、公安なんて存在の価値はないですよ。 でも日本のジャーナリズムは頼りないから、心配ですね。≫

 以下は、そのコメントに対する私の返事です。

 《「国民は公安をもっと知るべきです」に大賛成です。マスコミも都議会議員も都民も敢えて情報公開を求めません。下手に問題にして報復されるのが怖いのです。警視庁公安部の組織実態は、深い闇に包まれていて、誰にも正確にはわかりませんが、一説によると全部で2,000人の人員を抱える大組織と言われています。

 人件費だけで年間200億円。それに運営経費や情報費等をくわえると年間予算300〜400億円はかかるのではないでしょうか。民間で2,000人の社員を抱える会社ですと、売り上げ2,000億近くの大企業となる訳ですが、警視庁公安部の経費はすべて都民の税金でまかなわれていることを考えると、末恐ろしくなります。

 彼らが何をしているかと言うと、「過激派」「テロリスト」「ゲリラ」から国民や安全・秩序を守るという「大義名分」の下、時の政権や体制、権力を批判する人、反対行動する国民を特定し、監視し、動静を探り、情報提供者というスパイに金を払い、必要に応じて家宅捜査や逮捕、拷問、起訴して刑務所に送るわけです。

 戦前の日本の特高が国民に対して何をやったのか。ドイツのナチがゲシュタポを使ってドイツ国民やユダヤ人や占領国の国民に何をやったのか。現在のブッシュ政権がCIAやFBIやその他の公安、情報機関を使って、イラクやアフガンへの侵略戦争に反対するアメリカ国民に何をやっているのかを見れば、公安機関の役割は明白です。》

(山崎康彦)

     ◇

特集:裁判 クライシス

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[31160] 利用規定違反により削除しました(編集部)
名前:天地健
日時:2007/11/16 17:28

利用規定違反により削除しました。前回、指摘したようにあなたは削除回数が大変、多くなっています。このままですと登録を抹消します。(編集部)

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[31156] 及川さん コメント有難うございます。
名前:山崎康彦
日時:2007/11/16 10:39

カナダで起こったことは、日本では隠蔽されて公表されることはないと思います。
警察に問い合わせても、日本の警察は真実を決して言わないからです。


警察や権力が陰謀を企てて実行した事件に、経済評論家植草一秀さんの二度にわたる「痴漢逮捕事件」があります。


当時、植草さんは、小泉・竹中の構造改革改革路線は、「日本経済を崩壊させる」とTVや雑誌や講演会で痛烈に批判していまし
た。


特に2度目の「痴漢逮捕事件」は、当時の竹中経済兼金融担当相が「日本の銀行が大きすぎるからつぶせないとの考えかたは取らない」と日本の大手銀行でも破綻した場合は国は救済しないと言明していたにもかかわらず、「破綻」させられたりそな銀行が、
1兆9600億円の公的資金(税金)を投入して救済された事と深い関連があるようです。


国によるりそな銀行救済劇の裏には、りそな銀行救済情報を事前に入手した勢力がいて、外資系ファンドが莫大な利益を獲得した「巨大国家犯罪疑惑」があると植草さんは告発していました。


詳しくは、今年8月に出版された「知られざる真実-拘留地にて-」
(イプシロン出版)をお読みください。


132日間の異常に長い拘留とマスコミを使っての「植草一秀=痴漢常習者」のキャンペーンは、権力と警察が植草さんを陥れるために綿密に計画した陰謀であると思われます。


日本人は、政府情報や警察情報などのマスコミ情報を頭から信じる傾向がありますが、これからは、裏にある権力や警察の隠された意図を鋭く見抜く力が必要です。


幸いにも、今は「JANJAN」「OhmyNews」「YouTube」や数多くの
インタネット情報サイトがあり自由にアクセスできますので、以前とは比べ物にならないほど、個人の情報能力を高めることが可能です。

[返信する]


[31135] 暴走警察をいったい誰がコントロールできるのか?
名前:高橋七郎
日時:2007/11/15 15:15


今日本当にシビリアンコントロールが必要なのは、

自衛隊じゃなくて警察組織ですね。

[返信する]


[31134] 闇の世界
名前:及川洋子
日時:2007/11/15 14:45

詳しい情報ありがとうございます。

人間のすることなどこんなに汚いものかとあまりにも悲しいですね。そして恐ろしいですね。

アメリカなんか闇の世界が渦をまいていて、まるでブラックホールのようです。

この夏、Bush大統領がカナダに来た際、大きなデモがありました。とても平和的なデモの人々にまじって、デスマスクをして、石を投げつけようとしていた3人が逮捕されました。周りにいた平和的な人々が「石なんかもつな!」「これは平和的デモなんだ!」と注意しながらも、この暑いのにデスマスクとは変だな、怪しいと目をつけていたので、この3人の詳しい身柄を逮捕したモントリオール警察に問い合わせたところ、ここの警察官だということが解ったのです。デモに参加する人々を暴力的なアウトローと見せるために企てた陰謀でした。

これはデモ参加者がカムコーダで録画していたので、YouTubeで見ることができます。

カムコーダでできるだけ録画して世間に見せるというのはどうでしょうか?


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