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●平成18年11月13日放送 「認定こども園」
きょうは「認定こども園」をとりあげます。幼稚園と保育所を一体化した「認定こども園」の設置を定めた法律が先月(10月)施行されました。これまでの幼稚園と保育所の両方の役割を兼ね備えた新たな形の施設をつくろうというものです。「認定こども園」というのは最近初めて出てきた言葉ですが、一体、どんな施設を目指しているのでしょうか?
はい。ひと言で言いますと、幼稚園と保育所の両方の役割を兼ね備えた施設ということができると思います。これまで小学校に入る前の子どもたちは幼稚園か保育所に通っているケースがほとんどだと思いますが、まず、この違いから説明したいと思います。
幼稚園というのは3歳から小学校入学前までの子どもを対象に、幼児教育を行う施設です。学校教育法に基づいたいわば、小学校の前の学校です。一方、保育所は0歳から小学校入学前までの子どもを保育する児童福祉法に基づいた福祉施設です。幼稚園は誰でも入園が認められていますが、保育所の方はもともと共働きの両親の子育てを支援する目的もありますので、入園できる子どもは原則として両親が働いている場合に限られているのです。
どうしてそれを一体化させようと言うことになったのですか?
一番大きな問題が保育所に入れない待機児童が全国各地で増え続けていることなんです。幸い、長野県では今のところ待機児童はいませんが全国ではおよそ2万人の子どもが保育所に入園できないでいます。働く母親が増えていることが背景にありますがこうした子どもたちの受け入れ施設を確保しなくてはなりません。一方、少子化の影響で幼稚園に通う児童の数は10年前から全国で10万人も減り、定員割れの幼稚園も出ています。それならば、待機児童は幼稚園に通えば良いのではないかと思いますが、幼稚園の教育時間は、法律で標準4時間とされていまして、働く母親にとってはこの時間では足りないというのが実情なんです。このため、幼児教育も行い、なおかつ保育時間も長くできる新たな施設を設置することにしたのです。
それでは、これからまったく新しい施設が作られると言うことなのですか?
いえ、基本的にはいまある幼稚園と保育所に新たに機能を加えることができるということです。
こちらをご覧下さい。まず今の幼稚園はこれまで3歳からだったのが、0歳から子どもを受け入れられるようになります。そして1日の教育時間は標準で4時間だったのが1日8時間程度利用できるようにして、延長保育や一時保育を充実させます。
一方、保育所の方は、親の就労の有無に関係なく、子どもを受け入れ、今の幼稚園が行っているような幼児教育も行うことになります。
また新たに認可される施設は地域で子育てをしている母親を支援する役割を担うことも期待されているため母親が気軽に子育ての相談をしたり母親同士が交流できる場を作らなくてはなりません。
この「認定こども園」ですが長野県内でも認定の動きは進んでいるのでしょうか?
「認定こども園」は、職員の数や施設の面積など細かい基準は各都道府県が条例で定めて認定することになっていまして長野県では来月12月の定例議会に条例案を提出することにしています。長野県は、「子育て支援」の側面をより充実させた施設にしたいと考えていて認定の条件に子育て中の母親の悩みの相談に当たる窓口を常設することを加える方向で調整が進められています。
認定を目指す具体的な動きは出ているのですか?
はい。これまでの所、いずれも長野市の朝陽学園幼稚園と若穂幼稚園の2つの幼稚園が「認定こども園」の認定を目指しています。
このうち、朝陽学園幼稚園では、職員を10人増やして、子どもたちの受け入れに備えています。ほとんどの職員が幼稚園の教員と保育士の資格の両方を持っていて、0歳から小学校入学前の子どもの教育と保育ができる体制を整えました。また、施設も新しくして、0歳から2歳向けのトイレや、幼稚園では必要なかった給食室も作りました。一方、若穂幼稚園でも子育て経験のある保育士を補充するなど、「認定こども園」への申請を準備しています。
2つというのはまだ少ないですね。
そうですね。長野県の場合、待機児童がいないというのが大きいと思います。県内の5歳の子どもの75%、4人に3人が保育所に通っていて、これは全国で最も高い比率です。それだけ、現時点で保育所の数が充実していると言うことだと思います。逆に幼稚園の入園率は、全国で最低ということになります。このため県内の幼稚園ではかなり長い時間の預かり保育を実施したり構造改革特区を申請して多くの幼稚園で2歳の子どもも受け入れているなど「認定こども園」に近い取り組みをすでに行っていることも認定を目指す動きが少ない要因だと思います。 さらに、認定を受けるためには職員を増やしたり新たな設備投資をしたりする必要があることからいまは様子を見守っている状況とも言えます。しかし、国は「認定こども園」を中心に地域全体で子育てを支援して欲しいという考えを持っていて、今後、こうした事情から「認定」の動きが広がっていくかも知れません。長野県ではさきほどご紹介した2つの幼稚園が早ければ、来年(平成19年)2月にも認定を受け、4月の新年度から園児の受け入れが可能になる見通しです。