富山県警のえん罪事件を生み、十四人の少女に暴行していた「真犯人」は懲役二十五年となった。求刑は三十年だったが、自供で誤認逮捕の解明が進んだことを考慮された 今年三月、松山地裁では女性六人に乱暴した男を求刑通り懲役三十年にし、連続暴行で無期とした大阪地裁の判決も続いた。先日の尼崎の飲酒運転では、三人を死なせた男に懲役三十年が求刑された。飲酒事故による求刑で過去最高という 厳罰化の流れが見えるように思う。が、強姦約四十件と放火二百件で五人の死者を出した男に死刑を適用せず無期とした大阪地裁の例もある。神ならぬ人間が裁くのである。百パーセント正しく万人が満足する裁判はない。より多くの人が納得できるものを求めるしかない 裁判員制度が刻々近づいている。法律は個人の恨みや報復感情に左右されず冷厳に秩序を保つ道具と確信する人もいれば、時々の社会常識や人間臭い正義感で罪と罰のバランスを取ると考える者もいよう 制度導入へPR事業が目白押しだが、国民は日々の裁判に注目し、そこから学んでいる。司法界の常識や正義感が問われていると言ってもいい。
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