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保育所民営化、大阪・大東市の上告退ける 最高裁

2007年11月16日20時39分

 大阪府大東市の市立保育所の廃止・民営化をめぐり、子を通わせていた保護者らが「民営化の混乱で損害を受けた」などとして市に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第一小法廷(泉徳治裁判長)は、市側の上告を退ける決定をした。決定は15日付。31世帯の51人に、1世帯あたり33万円を支払うよう命じた二審・大阪高裁判決が確定した。

 公立保育所の廃止・民営化に対する訴訟は各地で起こされているが、混乱が生じたことによる損害を認めて自治体に賠償を命じた司法判断が確定するのは極めて異例とみられる。

 大東市は03年4月、市立の上三箇(かみさんが)保育所を廃止・民営化し、保育士も入れ替わった。二審判決(06年4月)は、新しい保育士と3カ月の引き継ぎ期間を設けたものの、民営化した後に園内でけがが多く発生したり、児童が保育士の知らないうちに自宅に戻ったりするなど「児童の安全に重大な危険が生じかねない状況があった」と指摘。「引き継ぎ期間を少なくとも1年程度設定するなどの配慮をする義務があったのに、市は違反した」として慰謝料などの支払いを命じた。

 保護者の一部は廃止処分の取り消しも求めていたが、この点は二審と同様、第一小法廷も保護者側の主張を退けた。

 民営化をめぐって同様に保護者らが起こした訴訟では、横浜地裁が昨年5月、「継続して同じ保育所で保育を受ける利益」を認めて1世帯あたり10万円、計280万円の支払いを横浜市に命じる判決を出し、市側が東京高裁に控訴している。

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