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地域子育て支援センターで出会った田中さん(仮名)は、元看護師さんです。他のお母さんから子どもの病気の相談を受けるなど、しっかりした人という印象がありました。一方、ご自身の子ども、拓海君(1)(仮名)へのかかわり方には、とまどいが見られました。 拓海君がお友達をかんでしまったことがありました。その時、腕を引っ張って外へ連れ出し、「なんでお母さんの困ることばかりすんの!」と声を荒らげました。センターの職員にも声をかけてほしくない様子でした。 ある日、拓海君がおもちゃを片付けたくないと言い出し、その場から動かなくなりました。職員がハラハラしながら見守っていると、田中さんは「お母さんがここで見ててあげるから、あそこになおしておいで」と、落ち着いて伝えたのです。拓海君は、走っておもちゃを片付けに行きました。その後、お母さんに駆け寄る拓海君も、田中さんも、とてもうれしそうでした。 しばらくして、「さっきのやり方、いいやり方だよね」と声を掛けると、「他のお母さんがやってたからやってみたの」というお答えでした。 子育て支援を担当する職員の多くは、保育士など何らかの専門資格を持っています。子どもへの対応の方法も、数え切れないくらい知っています。ですが、それをストレートに「指導」しても、受け入れて頂けないことがあります。 田中さんが新しいやり方を受け入れられたのは、モデルが同じ立場のお母さんだったからではないかと思いました。子育て支援には、当事者同士の学びあいが大切であることに、田中さんの事例で気づくことができました。 (聖和大教育学部専任講師 橋本真紀)
(2007年11月13日 読売新聞)
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