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【シリーズ現場】

人権教育の現場から ■4■ 取り組み広く発信、検証

2007年11月16日

「全同教の取り組みを石川で発信したい」と語る全同教の高松委員長=奈良県上牧町の上牧小学校で

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高松全同教委員長に聞く

差別意識生まれる原因認識を

 第五十九回全国人権・同和教育研究大会は二十三、二十四両日、県内で初めて開催される。主催する全国同和教育研究協議会(全同教)の高松秀憲委員長(奈良県上牧町上牧小学校長)に、今大会への思いや人権教育の在り方などを語ってもらった。 (聞き手=報道部・渡辺聖子)

 −全同教発足から半世紀以上たち、北陸では初の大会。

 「かねて、多くの学校、地域に全同教の取り組みを発信し、検証したいと願っていた。戦後教育の営みを広げ、深める大会にしたい。狭義は被差別部落の問題をなくそうと取り組んできたが、今や在日外国人、障害者、高齢者、女性など人権問題は多岐にわたる。同和教育を中心にさまざまな人権教育を進めたい」

 −いじめや不登校の増加、児童虐待など、子どもを取り巻く現場は多くの課題を抱えている。

 「いじめは、子どもの中で起きる典型的な人権侵害の認識で、いじめられる側に立った解決が必要だ。学校は命と人間の尊厳を確立する場でありたい。人の痛み、苦しみに共感する意識を育てる教育に、全同教のこれまでの蓄積が生かせると考える。大会の議論を通じ、課題を克服する実践方法を発信したい」

 −今大会のテーマにもある「差別の現実から深く学ぶ」とは、どのような意味か。

 「差別という現象面だけでなく、家や地域の暮らし、なぜ差別意識が生まれるかをしっかりとらえること。差別を受ける側の願い、叫びを受け止め、教育をつくっていくことだ。“寝た子”を起こすなという考え方もある。同和地区がないので、同和教育は必要ないという考え方もあるだろう。現状はさまざまな意識がある。差別の現実から深く学ぶ、とは難しい問題で、全同教としても指針づくりを続けている。現在までに、四つの観点に整理した」

 −人権を教える側に求められることは何か。

 「差別は分かりにくい、人権は難しいと敬遠しがち。しかし、差別意識は空気を吸うように芽生える。自分と差別がどうかかわっているか振り返り、無理解だったと気付く自己変革が最も大事だ。大会を通じて、一人でも多くの人に確かな認識を持ってもらいたい。子どもの暮らしを見てみましょう。人権侵害に苦しんでいる子はいませんか」     

  (終わり)

  第59回全国人権・同和教育研究大会  23、24両日、金沢市の県産業展示館4号館をメーン会場に開催。基調提案などの全体会と分科会で構成。学校教育、社会教育部会で計9分科会に分かれ、県内外の教員や保護者らの報告がある。このほか特別部会として、JR金沢駅もてなしドーム地下広場などでの展示、交流コーナーも設けられる。参加費は4000円。詳細は県同和教育研究協議会のホームページにも掲載されている。

 

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