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【社会】

医療ミスで72歳女性死亡 名古屋市立城西病院

2007年11月16日 夕刊

医療事故があり、謝罪する伊藤寛城西病院院長(右)ら=16日午前、名古屋市中村区で

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 15日午後10時45分ごろ、名古屋市中村区北畑町4の市立城西病院(伊藤寛院長)から、入院患者が死亡したと中村署に通報があった。女性看護師(42)が気管のチューブに誤った器具(ふた)を取り付けたため呼吸困難になったといい、同署は業務上過失致死の疑いで事情を聴いている。16日に司法解剖して死因を調べている。

 死亡したのは、同区稲葉地町の無職鈴木隆子さん(72)。

 調べでは、たんを自力で吐けなかった鈴木さんは9月5日、別の病院で気管を切開し、呼吸とたんの吸引をしやすくするチューブ式器具「気管カニューレ」を装着。10月中旬に城西病院に転院した。

 15日午後6時20分ごろ、女性看護師がたんを吸入した後、息を吸えても吐けないタイプの器具をチューブ先端に取り付けた。30分後、この看護師がたんの吸引のため病室に来て、異常に気付いたが、既に心肺停止状態で、同8時40分に死亡が確認された。

 城西病院によると、看護師は正常に呼吸ができる器具をいったん外してたんを吸入した後、小さめの器具に取り換えようと、ナースステーションに行き、間違った器具を手にした。

◆過誤認め、院長謝罪

 名古屋市立城西病院の伊藤寛院長は16日会見し「(病院の)単純なエラーと考えられる」と謝罪し、過誤を認めた。今後、外部の医師や看護師、弁護士らによる医療事故調査委員会を設置し、再発防止のため、事故の詳しい解明を急ぐという。

 チューブに取り付ける器具を間違えた看護師は、勤務歴20年以上のベテラン。ルールでは器具を取り換えた後は患者の顔色などを見て、不具合がないかを確認することになっている。当日行われたかは「本人が話すことができない」状態のため、分からないという。患者は意思の疎通がほとんどできなかった。

 城西病院では、みなと医療生活協同組合協立総合病院での医療ミスを受け、事故を伝える新聞をコピーして全看護師に配布したとしているが、それ以上の防止対策は講じていなかった。

 

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