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学生によるバックステージ
起業を志す学生による『起業家列伝』取材同行記。ベンチャー経営者の成功体験から彼らは何を学びとるのか？
フジサンケイビジネスアイ『起業家列伝』（毎週木曜日連載）連動企画。
- 【プロフィール 】
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- 慶應義塾大学
- 理工学部 情報工学科 ２年
- 八巻 渉 [ やまき・わたる ]
- 東京出身
東京都立西高等学校卒業後、
2005年、慶應義塾大学 理工学部入学。
「Gallege（ガレッジ）」Web担当。
※インターネットビジネスに興味を持ち、プログラマーとなる。
（2006/7/7）『サービス学』
「高度経済成長時代では、日本はいい物を作っていたがサービスも世界でピカイチだった。しかし今の日本はサービスの質においても世界に遅れをとっている。」
私の取材メモに太字で書かれている。今回の取材で社長がおっしゃった言葉なのだが、私も従事しているIT業界を含め、技術にばかり注目が集まりサービスの質がおざなりになっている傾向が強いという今の日本の全産業の問題を端的に表していると思う。
ただ日本のサービスの質の衰退を嘆いているだけではない。ビジネスとしてサービスの質を追求しているだけではない。社長には、サービスというものの根本と真剣に向き合っている姿勢がひしひしと感じられた。私はこのサービスとの向き合い方を「サービス学」と呼びたい。
「私達はユーザーの視点に立って、ユーザー第一のサービスを目指していますよ。」
と語るのは簡単だ。
むしろ当たり前のことを改めて言っているだけにすぎない。ユーザー志向ではないサービスなんて存在し得ないと思う。けれども、ユーザーが欲しているものだけではなく、サービスのあり方や歴史、方法論にまで研究しているか、というとそこまで考慮せず結構ノリで出してしまっているサービスが少なくない感じを受ける。
「研究」
これがえとう社長率いるAZIAの提供しているサービスに込められていることを実感することができた。「CRM」や「ハイブリッド営業」といった良質なサービスを作るために用いる言葉や造語を取材で意識的に使われていた。
私も全てのサービスは「研究」により質を高めることができると思っている。今はやりのmixiを始めとするような友達同士でつながるサービスであるSNSも、「6degreeの法則」という人間関係のネットワーク理論に関する研究から生まれたのだ。「6degreeの法則」とは「知り合いを6人介せば世界中の全ての人とつながることができる。」というものである。実際に「世間は意外と狭い」ことを証明したこの研究がなければ、管理することが難しい人間関係に注目したSNSも生まれなかったかもしれないのだ。
サービス学。全ての企業やサービス提供者が念頭に置いておきたい姿勢だと思う。私もWEBサイトというサービスを提供するプログラマーとして考え続けなければならない。サービスの質を「追求」するだけではなく「研究」すること。それがサービス学の本質、さらにはサービス自体の本質を見抜く近道であると感じる。
（八巻 渉）