Radix No.15


Radix98.1

大学生活での“積極性”ということ

田 中 健 夫(カウンセラー)

 

 まもなく新入生の皆さんにとっては大学生活1年目も終盤にさしかかろうとしています。今までとは違う何かを積極的にやってみたい、勉強への取り組みや友人・恋人とのつきあい方など、これまでの自分を変えたいという気持ちを抱いて入学してきた人も多いでしょうが、この1年どうでしたか。やみくもに“積極的に”“変えたい”といっても、なかなか難しいと思います。というのは、自分を積極的に活かそうとできる場なり対人関係があってやれることなのだからです。

 大学生活の中で居場所をつくり、“自分”を出しながら成長し合えるような人間関係を求めている人に向けて、私が感じていることを少し書いてみます。

【落ちつける居場所】

 地下鉄の工事も始まり、キャンパスが何となく落ちつけない場になってきているようです。箱崎への移動もあり、毎朝自分を奮い立たせて元気を出して授業に出たり、現在の生活パターンにとりあえず馴れただけで、何かもの足りないという人もいるでしょう。授業を受けていても大多数は知らない人、サークルやアルバイト先でも本当に自分を出していない、受けいれられているという気持ちがもてない…という時は、どこか居心地の悪さを感じているのかと思います。

 いつも皆さんはどこにいますか。大学の(あるいは学外でも)どこかの場所に、自分が落ちつけるところがあるでしょうか。あるいは、落ちつける“場”というのは、誰かとの関係の中にあるのかもしれません。この人といたら、この場あるいは仲間が自分を発揮できるところだ、と思える場所や関係づくりは大きなテーマだと思うのです。

【人間関係を広げて積極的にやってみたい】

 こう考えたとき、1年近く経つとクラスでもサークルでも人間関係がほぼ固まってグループのようになってしまっている、と悩む人も多いです。例えば、こんな声を聞きます。「一度グループ化してしまうと、なかなかグループ以外の人と親しくなる機会が減ってしまう。そのため、本当に自分に合う友人との出会いが少なくなってしまう」と。いつも同じ人としか一緒にいないことから、無気力を感じる場合もあるでしょう。大学では“もっと積極的に人間関係の幅を広げて”というイメージを抱いていた人にとっては、それと現状とのギャップは広がっているかもしれません。

 グループで皆と一緒にいれば楽しいし、一人で行動して「あいつは友達がいない」などと見られるリスク(必ずそう見られる訳ではない)はありません。しかし、いつも同じ人といることで時間を束縛されるように感じたり、自分の思うように行動できない、相手に合わせてしまう自分を変えたいと感じている人は、高校までのやり方と自分を少しずつ変化させようと試みていると思うのです。これだけの総合大学で、学生も教官も大勢いる中では、“ともかく積極的に”というのは大変なエネルギーがいるでしょうが、大学生活のスタイルが一通りできたこの時期から、これまで話したことのない人と意識的に話をしてみることを勧めます。案外、自分と似たような問題意識や関心をもっているかもしれません。

【自分の学びを振り返る】

 大学での勉強のやり方や単位取得についても、それぞれのスタンスが一応できあがってきたと思います。もう少し、こういう勉強をしたいのに、と思っている人もいるでしょう。是非、“学び”については多様な体験から“自分の学びのスタンス”を振り返ってほしいと思います。その時に、他者を鏡にして考えることはとても重要だと思います。同じ専攻の学生同士、あるいは教官、私たちカウンセラーとも、それぞれがイメージしている“学び”のスタイルについて語り合ってみてはいかがでしょうか。

 

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