いまこそ潔い判断を望みたい
JOC(日本オリンピック委員会)も、ついに堪忍袋の緒を切らしたらしい。加盟団体に問題が生じた場合「指導、勧告」「交付金、補助金停止や減額」など処分の明文化を決めた。混乱が続き、いまだに昨年度補正予算案、今年度予算が成立していない日本バスケットボール協会に対する適用を念頭に置いているという。
バスケット協会は昨夏、日本で初めて開催された男子世界選手権で約13億円という赤字を出し、理事会の「人心一新」を求める一部評議員と対立。4月から4回も定足数不足で評議員会が流れている。一般企業なら多額の借金が未整理のまま、とっくに倒産しているような状況だ。
なんとか切り詰めて「最低限の生活」をしなければならないのは当然だろう。しかし、ある関係者によると、この期に及んでも、今夏のアジア予選で北京五輪出場権を逸した女子にとってラストチャンスとなる来年6月の世界予選を、6億円もかけて日本で開く算段をしているという。一体、この協会の執行部の財政感覚はどうなっているのだろう。
JOCが動いた裏には監督官庁である文科省の強い意向も働いたようだ。五輪、アジア大会など総合大会に選手を派遣するのはJOCの管轄である。仮に出場権を取ったとしても、「ペナルティーとして派遣しない」といわれればそれまでである。1936年のベルリン五輪に初出場した球技団体の「しにせ」としては、不名誉極まりない。
4回も評議員会を流会させた反対派の戦術にも批判はあるが、いったんは約束した「人心一新」を反古にして居座り続ける執行部の横暴な体質はいかんともしがたい。退路が断たれたいまこそ潔い判断が望まれる。
(サンケイスポーツ・今村忠)