北九州市の生活保護運用の見直しで、市保健福祉局が08年度当初予算案に盛り込む生活保護費について、前年度当初予算(287億7400万円)より31億円多い319億円弱を市財政局に要求していることが15日分かった。見直しによる出費増を見込んだとみられる。市の生活保護費は92年度以降、当初予算で310億円を超したことはなく、96年度以降は決算額が当初予算額を下回るなど抑制が続いていた。
同市では05~07年、生活困窮者の孤独死が3件発生した。北橋健治市長は9月に「数値目標」との批判があった生活保護の給付見込み数の撤廃を指示。また、孤独死問題を検証する第三者委員会の中間報告(10月)を受け、窓口で申請意思のある人への申請書交付を徹底するなど市の保護行政を転換する方針を表明していた。今回の要求額は、91年度当初予算(320億2000万円)と同水準となる。
市は今年から新年度予算案の編成過程を市議会と市民に公開することにしており、20日の市議会総務財政委員会で当初予算案への各局の要求を報告。市民からの意見も参考にし、2月上中旬に最終決定する。
生活保護費について市議会関係者は「報告後に減らすことはできるが、市民の関心が高いテーマだけに難しいだろう」と指摘する。また市保健福祉局保護課は「委員会が開かれるまで何も話せない」と話している。【平元英治】
毎日新聞 2007年11月16日 2時30分