近畿の公立病院、介護施設に転換や周辺と機能分担──舞鶴では4病院が統合検討

 
              
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近畿の公立病院、介護施設に転換や周辺と機能分担──舞鶴では4病院が統合検討

2007/11/16配信
 近畿の自治体が運営する公立病院で、経営難から空き病床を介護施設へ転換したり、別の病院と診療科などの機能を集約したりする動きが相次いでいる。日本経済新聞が2府4県・4政令市に聞いたところ、公立病院の36%に当たる43病院で病床利用率(2006年度)が70%を割る状況。総務省は経営悪化に歯止めをかけるため、病床利用率が低い病院に抜本的な経営改善策を求める方針で、今後、再編や経営形態転換などの動きが加速しそうだ。

市立舞鶴市民病院(京都府舞鶴市)
市立舞鶴市民病院(京都府舞鶴市)

 京都府舞鶴市では、市立舞鶴市民病院や舞鶴赤十字病院など運営主体の違う4病院が経営統合の検討に乗り出した。実現すれば、全国初のケースとなる。

 舞鶴市民病院は04年春の内科医の集団退職をきっかけに診療体制を縮小。毎月9000万円の赤字が続き、累積赤字は35億円に及ぶ。再編には運営を統括する新組織をどうするかなど課題も多いが、市は「現場では地域医療を守るには再編が必要との認識で一致している」と話す。

 市立泉佐野病院(大阪府泉佐野市)と市立貝塚病院(同府貝塚市)は来年4月、両病院の産婦人科を統合する。分娩(ぶんべん)は泉佐野、婦人科手術は貝塚に集約する。両病院に医師を派遣してきた大阪大が昨年、「現状のまま派遣できるかは難しい」と通告し、医師の安定確保が難しくなったための措置。


 泉佐野病院は「産科医の負担を軽減でき、宿直医も1人から2人に増やせる。機能分担で共倒れを防ぎたい」という。

 公立香住総合病院(兵庫県香美町)は来年4月、病棟の3階部分を介護老人保健施設に転換する。年3800万円の増収を見込む。同病院では2004年度から必修化された医師臨床研修制度の影響で、眼科や産婦人科などの常勤医が相次ぎ派遣元の大学病院に引き揚げた結果、診療体制の縮小を余儀なくされた。医療収入は激減し、累積赤字は30億3000万円まで膨らんだ。

 10月には、院内に眼科の民間診療所を開業。「医師確保が難しい中で地域医療を守るための方策の1つ」(藤原久嗣町長)

 経営形態を変更することで効率経営をめざす動きも出ている。

 大阪府はすでに府立病院を地方独立行政法人の運営に衣替え。目標管理や業績主義を導入した。病院事業は05年度に4億2000万円の赤字だったが、法人化を機に人件費を削減。06年度は13億円の黒字を確保した。

 市立芦屋病院(兵庫県芦屋市)も09年4月をメドに独立行政法人へ移行する方針。西宮市は検討委員会を設置し、市立中央病院(同県西宮市)の運営主体のあり方を見直している。
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