<診療報酬改定>引き上げ?引き下げ?中医協で攻防始まる
11月14日18時16分配信 毎日新聞
08年度の診療報酬改定率をめぐる攻防が14日、来月中の政府・与党による決着に向けて厚生労働相の諮問機関、中央社会保険医療協議会(中医協)で始まった。構造改革路線の小泉政権下では事実上削減幅が争点だったが、地域医療の疲弊に加え、福田政権の誕生で引き上げを求める診療側に追い風は吹いている。それでも、経済界や財務省は引き下げを求め、譲らない構えだ。
14日の中医協は、会場が一瞬静まり返った。中立の立場の土田武史会長(早大教授)が、「プラス改定が正常」と、異例の発言をしたためだ。
2年に1度の診療報酬改定は、06年度も3.16%減で決着するなど3回連続のマイナス改定。ただ今回は医師不足など医療の危機的状況に、土田会長も揺れたとみられる。厚労省も同日、「06〜07年度は公務員賃金、物価とも累計0.7%増」との資料を配布し、日本医師会は5.7%増を主張した。与党内も「今回の減額は無理」との空気が大勢を占める。
これに対し、支払い側の健保組合や経済界の代表は「診療所の収支は経年的に黒字」とのデータを示してけん制。「診療報酬で医師不足は解消できない」と反論した。14日は経済財政諮問会議でも民間議員が減額改定を迫った。既に5日には財務相の諮問機関、財政制度等審議会が引き下げ方針で一致している。
診療報酬は、医師の技術料など「本体」と「薬価」に大別される。08年度も薬価は1%程度削減する方向が固まっており、焦点は本体の動向。前回は1.36%減だっただけに、診療側は引き上げを最重要課題に掲げる。
一方、保険料負担に響く支払い側だけでなく、財務省が減額に躍起なのは、診療報酬を1%下げると国庫負担を約800億円減らせるため。08年度予算編成で、同省は薬価と政府管掌健康保険の国庫負担減を想定していたが、政管健保の方は与党の慎重論が強く、診療報酬本体を引き下げないと予算が組めない可能性も出ている。
改定率の決定権は、中医協委員の汚職を機に中医協から内閣に移った。今後は中医協の意見を踏まえ官邸・与党が12月中の政治決着を目指す運びとなるが、政府内の調整は難航が避けられない。【吉田啓志】
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