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裏切り暴露! サムスン元重役が金銭工作を告発

2007.11.15 19:07

 【ソウル=黒田勝弘】韓国では今、最大財閥企業、サムスン(三星)グループの法務担当の元重役(弁護士)がサムスンの政官界に対する“金銭工作疑惑”を暴露し大騒ぎになっている。工作対象には新任の検事総長など検察首脳も含まれているといい、企業の内部秘密を暴露した企業弁護士の“裏切り”の是非をふくめ、事件は司法界を揺るがせている。

 一方、大統領選たけなわの政界では、革新系の与党陣営が事件を“反不正腐敗キャンペーン”につなげ、優勢の保守系野党候補追い落としに利用しようとしており、選挙情勢にも微妙な影響を与えそうだ。

 疑惑を暴露したのは財閥サムスンで1997年から2004年まで法務担当チーム長をした金勇●(=轍の車をさんずいに)弁護士(49)。各紙の報道によると、サムスンでは専務級の重役として7年間に総額約100億ウォン(約13億円)の報酬のほか、退職後も顧問料として毎月2200万ウォン(約300万円)を得ていたという。

 その金弁護士が最近、宗教団体と一緒になり“良心宣言”として記者会見し、サムスンが政官界工作のため秘密資金の銀行口座を持ち、検察首脳陣に“モチ代”をばらまいているなどと明らかにした。

 サムスンも検察首脳も事実無根を主張し、真相をめぐって攻防が続いており、検察当局や国会での追及も始まっている。韓国ではこれまで、財閥の対政官界ロビー工作は公然の秘密といわれてきた。

 今回の疑惑事件でそうした“癒着構造”があらためて問題になっているが、一方では金弁護士に対しては「あれほどいい待遇を受けながら裏切るとは…」とか「告発するのなら受け取った巨額報酬を返上してからにすべきだ」などといった批判も聞かれる。

 企業側にとっては退職後の高額顧問料は一種の“口止め料”といわれてきただけに、今回の“弁護士の裏切り”に財閥企業などは「信頼関係の崩壊につながりかねない」と衝撃を受けているという。

 韓国の企業経営で家族支配が強い背景には「身内しか信用できない」という観念があるといわれ、事件はこの不信構造をあらためて確認させるものとの指摘も出ている。

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