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【溶けゆく日本人】快適の代償(3)出来合いの食 誰も彼も容易に (2/3ページ)
このニュースのトピックス:溶けゆく日本人
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東京の公立小学校に35年間勤め、現在も嘱託で教えているベテランの山本恵子教諭(61)=仮名=はあきれ顔で話す。「運動会のとき、水筒に牛乳を入れてきた子がいたのには驚きました。ジュースを入れてくる子供は普通に見かけるようになりましたが、常識のない親が増えましたね」
弁当を持参する日。子供の弁当をのぞくと、冷凍食品のオンパレードだ。コンビニ弁当を持たせるのも、もはや珍しくない。「もっとも、この数年、若い先生は男性も女性も給食のない日に近所のスーパーやコンビニで弁当を買って食べています。先生がこれでは食育指導なんて…」
冷凍食品が利用されるようになったのは昭和40年ごろから。この年、電気冷蔵庫の普及率が7割になっており、まさに冷蔵庫の普及に足並みをそろえるように冷凍食品は広まっていった。昭和50年代以降は電子レンジが家庭に普及し始め、さらに冷凍食品がもてはやされるようになった。冷凍庫で長期保存し、レンジでチンすればいつでも手軽に食べられる。冷凍食品は家庭生活には欠くことのできないものになった。
しかし、東京医科歯科大学の藤田紘一郎名誉教授(寄生虫学・感染免疫学)は、コンビニ弁当や便利な食材による生活を危惧(きぐ)する。「私たちの体を守る免疫細胞を活性化しているのが腸内細菌。防腐剤や食品添加物などを使った食品をたくさん口にしていると、腸内細菌は減るばかり。免疫力が低下すれば病気にかかりやすくなる」
添加物だらけの食材に囲まれた食生活を見つめ直すことも必要なのかもしれない。