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【溶けゆく日本人】快適の代償(3)出来合いの食 誰も彼も容易に (1/3ページ)
このニュースのトピックス:溶けゆく日本人
東京都渋谷区内の会社で働く北村由加さん(36)=仮名=は、好きな仕事に夢中だ。朝は9時から夜10時過ぎまで働く。
職場近くのマンションで1人暮らしをしているが、「家に帰るとクタクタでもう何もやる気がしない。まして料理を作るなんて考えられない。その時間もない」。
朝は何も食べずに家を飛び出す。昼、夜ともに会社近くのコンビニエンスストアの弁当で空腹を満たす。料理は全くできない。そもそもしたことがないのだという。冷蔵庫にはジュースと酒類があるだけ。調理が必要な食材は一切入っていない。
「生ゴミが出るのもいやです。ゴミ出しも面倒なので、なるべく生ゴミが出ない食生活をしています」
コンビニが日本に登場したのは昭和40年代半ば。当初は深夜に閉店していたが、いまではほとんどが24時間営業だ。スーパーも対抗して深夜まで店を開けているため、いつでも弁当や総菜を買うことができる。
北村さんは18歳で石川県七尾市から上京。都内の国立大学を卒業し、専門を生かした仕事に就いた。適齢期を過ぎたが、「結婚をしたい」と考えたことはない。故郷の友人の結婚の知らせを聞いても、「人の結婚など興味ありません。自分は自分ですから」とあせる様子はない。
郷里にいる両親はすでに60代半ば。「孫の顔をみせたら喜ぶのでしょうが無理ですね。私の頭の中には『結婚』『家庭』『料理』という言葉はありません。仕事をしているのが生き甲斐です」