女子高生がTバック姿で出演するDVDが「児童ポルノ」に当たるとして、警視庁が児童買春・ポルノ禁止法違反容疑で、出版会社社員らを逮捕しながら、東京地検は同罪での起訴を見送り、児童福祉法違反罪の起訴にとどめた。過激化、低年齢化する「ジュニアアイドル」市場に歯止めをかけようと、いささか強引な摘発に乗り出した警視庁に、検察は「児童ポルノに当たることは当たるが、悪質ではない」と玉虫色の判断を下した。
警視庁が摘発したのは出版社「心交社」が制作した「Teenな彼女」シリーズの1作。都内の高2の少女(17)を今春、バリ島で撮影した。
内容は南国の空の下、大人びた顔の少女が豊満な体をくねらせながらTバックをギリギリまでずり下ろし、お尻を突き出す。ブラのひももゆっくりはずし、手で隠しながら自分で胸をもむ。捜査幹部は「総合的にみて児童ポルノに当たると判断した」と説明する。
ここ2、3年、「ジュニアアイドル」の名前で低年齢層の過激なDVDが出回り始めた。2005年夏に中1少女がTバックDVDを売り出すと一気に火が付き、06年にはTバック小学生が、今春には9歳のTバックまで登場した。
業界事情に詳しいフリーライターの永瀬白虎氏は「業界が熾烈(しれつ)な競争を繰り広げるなか、ロリコンものは確実に売れる。業界は小中高生ものを自主規制してきたが、1社が始めたらワーっと続く素地があった」と話す。
8年前に施行された児童ポルノ法は児童ポルノを「衣服の全部または一部を脱いだ姿態で、性的好奇心をそそるもの」と定義している。最初から裸に限ったものでなく、「性的好奇心だけならモーニング娘。のスクール水着も摘発しなければならなくなる」と難色を示す検察を、警視庁が強引に押し切った形だった。
地検は結局、「映像内容は児童ポルノに当たるが、ほかの児童ポルノに比べ悪質性が高いとはいえない」と児童ポルノ法での起訴を見送った。永瀬氏は「今後、低年齢ものを自粛する動きが出る一方で、児童ポルノ法では起訴されないとなると、局部が写らなければ大丈夫とギリギリの露出まで技巧を凝らした競争がより激化するのではないか」と話している。
ZAKZAK 2007/11/14