◇知事「時間外徴収金、検討に値」
仕事などで日中に受診できない軽症患者が夜間や休日に救急外来に押し寄せる「コンビニ化」現象が県内でも問題となっている。緊急性のない利用を抑えるため埼玉県内の病院が休日・夜間の軽症救急患者に、時間外特別徴収金の自己負担を求めることを検討していることについて、村井嘉浩知事は12日の定例会見で、「県内でも検討に値する」と述べ医師の負担を減らす方策として有効との見方を示した。
県消防課によると、06年に救急車で病院に搬送された人は7万8270人。そのうち重症に区分されたのは14・9%の1万1670人で、33・1%に当たる2万5978人は入院の必要がない軽症だった。救急車を使わずに直接病院を訪れる人を加えると、軽症者の割合は増えるとみられる。
軽症受診の増加は、当直医が重症者の治療に十分な時間を充てられなくなるばかりでなく、負担に耐えかねて辞める医師も出て、医師不足に拍車を掛けていると指摘されている。村井知事は「救急外来は一刻を争う患者のためにある。利用者は趣旨を踏まえた行動を取ってほしい」と意識改革を求めた。
こうした現状を改善しようと、埼玉医科大総合医療センター(埼玉県川越市)は、夜間・休日の軽症救急患者に対し時間外徴収金として8400円を徴収する準備を進めている。一方、医学知識の無い患者側が重症か軽症かを判断するのは難しく、必要な医療を受けられなくなる恐れもあるとの指摘が出ている。
大学病院や地域の中核病院に軽症患者が集中するのを防ぐため、県は今年2月からインターネットで所在地や診療科ごとに医療機関を簡単に検索できる「県医療機関選択支援システム」の運用を開始。近所の「掛かり付け医」を受診し、重症の場合のみ大きな病院を受診する流れを作ることが目的だ。
また、仙台市は平日夜間と休日に比較的軽症の急患を受け入れる急患センター(若林区舟丁)を運営しているほか、北部急患診療所(青葉区堤町)でも平日の准夜間(午後7時15分~同11時)と休日の日中に診療を受け付けている。【山寺香】
毎日新聞 2007年11月15日