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スパイの名は「デリマル」 米原爆開発計画、ソ連へ奪取

2007年11月15日12時45分

 米国が第2次世界大戦中に原子爆弾を開発した「マンハッタン計画」について、決定的な機密情報をソ連にもたらしたスパイの名前をロシアのプーチン大統領が初めて明らかにした。研究者らは「20世紀のスパイ史に一ページを書き加える新事実」と注目している。

 このスパイはジョルジュ・コワリ氏。コードネームは「デリマル」。

 プーチン大統領は今月2日、昨年1月に92歳で亡くなったコワリ氏に対して、ロシア最高クラスの金星勲章を追贈。授賞理由の中で「彼のおかげで我が国の核兵器開発期間が劇的に短縮された」とたたえた。ソ連は米国から遅れることわずか4年、1949年に初の原爆実験に成功し、米国に衝撃を与えた。

 ロシア国防省の新聞「赤い星」などによると、コワリ氏は13年、米アイオワ州でソ連からのユダヤ人移民の子として生まれた。ソ連に移住、軍の参謀本部情報総局(GRU)にスカウトされた。

 40年に米国に派遣されたコワリ氏は、マンハッタン計画の司令部とウラン濃縮施設が置かれたテネシー州オークリッジの研究所に勤務。情報をソ連に伝えたとされる。

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