【ブリュッセル=赤川省吾】欧州連合(EU)統計局が14日発表したユーロ圏13カ国の2007年7―9月期の域内総生産(GDP)は、実質ベースで前期比0.7%増だった。米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題をきっかけとした金融市場の混乱の影響はほとんどみられず、年率換算で2%台後半の成長となった。ただ、単一通貨ユーロの上昇や賃上げが輸出産業の重しとなる可能性があり、景気の先行きには警戒感が強まっている。
7―9月期はサブプライムローン問題の震源地だった米国が年率換算で3.9%の高い伸びとなったほか、アジア向けなどの輸出が好調だった日本も2.6%成長を達成した。8月以降の金融市場の混乱に伴い、多額の損失を計上する大手金融機関が相次いだが、日米欧とも実体経済への影響は小さかったようだ。
国際通貨基金(IMF)は07年通年のユーロ圏の成長率を日米より0.5―0.6ポイント高い2.5%と予想しており、今回の発表も足元の欧州景気の底堅さを裏付ける内容となった。(22:01)