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東電調査では断層見落としか
中越沖地震によって被災した東京電力柏崎刈羽原発の沖合で東電が1970―80年代に実施した断層調査で、多数の断層を見落としていた可能性が高いことが14日、同社が開示した海底音波探査の詳細なデータの分析で分かった。断層が疑われる地点の3分の2は東電が断層と認めず、少なくとも4つの断層の存在を見逃したまま原子炉増設を申請した疑いが強い。国の安全審査もこの評価を認めており、その妥当性が問われそうだ。
東電が今回初めて開示したデータは2、5号機と3、4号機の増設に伴い79、80、85年に実施した延べ約1670キロ分。この調査結果を基に周辺海域には一つの活断層と三つの断層があると評価。増設申請に盛り込み、国もこれを通していた。
しかし、新潟日報社が入手したデータを見た東洋大社会学部の渡辺満久教授(地形学)は「(東電が当時評価した)各断層の延長線上にも断層が延びている特徴をデータは示しているが、東電は一部しか断層と認定していない」と過小評価の可能性を指摘。さらに、東電が認めていない場所にも断層が存在しているとした。
渡辺教授によると、海底の地下に断層があっても、その上部を覆う地層が軟弱な場合、断層が明確に表面に現れず、たわんだような状態になるという。そうした場所を東電は断層と認定しなかった疑いがある。
渡辺教授は「30年近く前の知見で十分断層と認定できたはずだ。当時の東電の評価はあり得ない。もっと問題なのはこれを見逃していた国の安全審査。専門家がこのデータを見れば必ず断層と分かるはずだ」と述べた。
経済産業省原子力安全・保安院は「当時の知見を基に最善の努力を払ったと理解しているが、評価に不十分なところがあった可能性は否定できない」としている。
東電は、判断の根拠は分からないとした上で「過小評価という指摘があるが、当時の研究レベルでは最善を尽くしたのだと思う」と釈明。7月の中越沖地震発生より前から断層再評価の必要性は認識していたが、間に合わなかったとしている。
新潟日報2007年11月15日
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