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年金がわかる:多くの人は元が取れるが…

 「自分の年金額を知ると、ほとんどは『えーっ』とびっくりした後で、『これだけ?』と絶句する」。東京都内の社会保険事務所で相談窓口を担当する職員はこうぼやく。内閣府の年金に関する世論調査(03年)でも、関心があるのは「将来の自分の受給額」(67%)がトップだった。

 だが、受給額は制度や収入の多寡で異なり、「いくらもらえるか」の答えは簡単ではない。今回は自営業者やフリーター、専業主婦などが受給する国民年金(基礎年金)を例に見てみよう。

 20歳以上60歳未満の国民に加入が義務付けられている国民年金は、保険料(現在月1万4100円)を40年間(480カ月)払えば、満額の年79万2100円を受け取れる。

 40年未満だと、例えば351カ月加入していた仙台市の専業主婦(61)の場合、79万2100円×351カ月÷480カ月で、受給額は年57万9200円になる。この主婦は「ぜいたくは言えないが、やはり少なすぎる」と不満顔だが、60歳以降も保険料を払って年金額を増やす方法(任意加入制度)もある。

 「年金は少ないから保険料は払わない」と言う人も多いが実際はどうか。保険料は17年度以降、月1万6900円で固定される予定で、仮にこの額を40年払い続ければ総額で811万2000円の負担になる(会社員や公務員の専業主婦の保険料負担はゼロ)。

 満額の年金額が変わらないと仮定すれば、受給開始から10年強で元がとれる計算になる。日本人の平均寿命は男性78歳、女性85歳で、多くの人は国民年金の恩恵を受けることができる。

 ただ、06年度の保険料の実質納付率は5割を切り、国民年金の空洞化がとまらない。生活保護の支給水準にも満たないなどの問題があるからだ。社会保険労務士の川端重夫さんは「基礎年金と言いながら、信頼性に乏しく実際には基礎がボロボロだ」と指摘する。【中西拓司】

毎日新聞 2007年11月15日 東京朝刊

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