◆大相撲九州場所4日目 ○朝赤龍(寄り切り)時天空●(14日・福岡国際センター) えっ! 朝青龍(27)=高砂=が勝った!? 関脇・朝赤龍(26)=高砂=と西前頭3枚目の時天空(28)=時津風=の一番で、行司の木村玉光(57)が勝った朝赤龍への勝ち名乗りを「朝青龍」と間違えてしまった。木村玉光は土俵に上がった時の名乗りも「朝青龍」と呼んでしまい、合計3度もミス。事態を重く見た三保ケ関審判副部長(元大関・増位山)は5日目の15日に玉光を審判部に呼び出し、厳重注意を伝える方針だ。全勝は大関・千代大海(31)=九重=ら3人。
空席が目立つ館内に、いるはずのない横綱の名前が響き渡った。「かたや朝青龍〜、朝青龍〜」。土俵に上がったのは朝赤龍。しかし行司・木村玉光は出場停止中の横綱への思いが募ったのか、朝青龍の名前を堂々と名乗り上げた。
桟敷席は失笑。たまらないのは朝赤龍だ。「最初は聞き間違えかと思ったよ。最悪だよ」。なえる闘志を奮い立たせ、何とか時天空を寄り切り3勝目を決めた。ところが、ハプニングはこれで終わりではなかった。
勝ち名乗りで飛び出したしこ名は、またも「朝青龍〜」。さすがに朝赤龍も「懸賞金をもらうのやめようかと思った」と手刀を切る時に木村玉光をにらみ返した。正面の土俵下で三保ケ関審判長が言い直すように注意したが、行司の耳には届かなかった。木村玉光はキャリア42年の三役格行司。取組を終え本人は「確か朝赤龍と言ったはずですが…。朝青龍と言った記憶はないんですよ」としどろもどろ。三保ケ関審判長は「力士に失礼。明日、呼び出して注意します」と厳重注意を言い渡すことを明言した。
土俵での珍事に北の湖理事長は「朝赤龍だけでなく朝青龍にも失礼。気を付けてやって欲しい」と注意。5日目も木村玉光は朝赤龍と琴奨菊戦を裁く。まさかの“朝青龍2勝目”に、ならなければいいが…。