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【ゆうゆうLife】社会保障これから 株式会社の病院経営 (2/2ページ)
「本来の意味」での非営利法人というのは、脱退時なども、土地や建物などの資産が理事長など、個人に帰属しないような仕組みだ。親族だけで運営するのも、本来の非営利法人とはいえない。
なぜ、非営利が大切なのか。まず、保険医療には、保険料や税金などの公的資金が多く入っている。しかも、医療サービスには際限がない。医師が意図すれば、情報の独占も可能だから、営利を目的にすると、過剰診療になる危険性がある。加えて、たとえ病院長が亡くなっても、病院が倒れるリスクはなくさなければならないからだ。海外でも、非営利の病院が大勢だ。
これまでも、「特定医療法人」「特別医療法人」など、非営利法人が医療機関を持つ制度が作られてきた。直近の法改正では、「持ち分あり」の医療法人を新たに作ることは認められなくなった。これも、同じ方向を目指している。日本の医療費は原則、治療や薬剤費を積み上げる「出来高制」。医療機関が決める費用が、いわば保証されるわけだから、非営利の考え方がなじむと思われる。しかし、実際には、特別医療法人などはごく少数派だ。
医療法人の理事など、役員の所得も公開して、医療スタッフへの配分など、医療費が適正に使われていることを示すべきだ。それが医療全体の力になる。(立教大学講師 磯部文雄)