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公立病院改革 効率で医療は守れるか(11月15日)大半が赤字経営となっている公立病院の経営改善策を検討する総務省の有識者懇談会が改革の指針案をまとめた。 病床利用率が三年続けて70%未満の病院は病床数十九以下の診療所に縮小するといった抜本的な見直しを迫っている。 経常収支比率や医療収益に占める職員給与比率などについて、数値目標を定めた改革プランを来年度中に策定するよう求めている。 自治体に極めて厳しい内容だ。 全国に千余りある公立病院の八割は赤字で、病院経営は自治体の財政悪化の最大級の要因になっている。 公立病院は民間では経営が成り立ちづらい不採算の医療を担ってきた。二十四時間対応の救急医療もそうだ。過疎地や離島を抱えるところもある。 赤字体質にはそれぞれ事情がある。効率を優先して全国一律の基準で線引きし、公立病院を再編・統合しようとするのはかなり乱暴だ。 最大限の効率的運営を図っても病院が赤字になる場合は、一般会計からの繰り入れで黒字になるよう数値目標を設定できることになっている。 しかし、収益に直結する病床利用率が三年連続70%未満の公立病院が15%を占める。道内では三割近い。 将来の黒字化を数字のうえで示すことすら難しいだろう。改革プランは絵に描いたもちになりかねない。 北海道にとっては影響がとりわけ大きい問題だ。 道内には九十四の市町村立病院がある。昨年度決算ではこのうち、二十九病院で計二百二十億円の実質赤字(不良債務)を抱える見込みだ。全国の公立病院の実質赤字の二割を超える。 道などがまとめた自治体病院の再編・集約化構想を可能なところから実行に移す時が来ているのではないか。 とはいえ、地域ごとに中核病院に医療機能を集約するにも、医師が足りない。人件費の削減は大きな課題だが、無理に削れば医師不足に拍車を掛け、経営をさらに悪化させかねない。 診療報酬引き下げの影響は病院経営に重くのし掛かっている。 自治体も経営立て直しに知恵を絞らねばならないが、地方がいくら努力しても解決できない課題が多い。 そもそも、医師の増員や産科、小児科の診療報酬見直しなど、国がきちんと対処すべきところが、おざなりになっていることにも問題がある。 指針案は改革の方向を示したが、財政支援措置は具体的にしていない。 指示に従わなければ、地方交付税の配分で事実上の罰則を科すのではないかと自治体が懸念するのも分かる。 病院に比べてずっと少ない診療所への交付税の見直しをはじめ、道と各市町村が経営効率化に必要な財政措置を国に求めるのは当然だ。 |
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