大町市は14日、慢性化している市立大町総合病院の医師不足対策として、県外から同病院に転入する医師への研究資金貸与制度を創設する方針を市議会全員協議会に示した。2種類の貸与額を設け、300万円の場合は3年間、200万円は2年間、同病院に勤務すれば返還を全額免除する。
同様の制度は、県が4月、県内医療機関に転入する医師を対象に開始。10月には昭和伊南総合病院(駒ケ根市)を運営する伊南行政組合も導入するなど、医師不足に悩む自治体に広がりを見せている。
大町市は市議会12月定例会に、医師2人分、600万円を盛った市病院事業会計の補正予算案と関連条例案を提出、来年1月から制度を開始する予定だ。
県が産科、小児科、麻酔科、昭和伊南が産婦人科、整形外科の医師確保を主眼に置いているのに対し、大町市は「大町総合病院の診療科(12科)の範囲であれば、専門分野は問わない」と規定。臨床研修を終えたばかりの若手医師も対象とし、同病院での医師の研修、養成も視野に入れている。
既に県の資金貸与を受けている医師は対象外とする。全額免除のほか、300万円貸与の場合は、2年間の勤務で3分の2の返還を免除する。
大町総合病院は1999年4月時点で27人いた常勤医が現在20人に減少。さらに内科の常勤医5人のうち2人が、年内に県外の病院に移る。非常勤医のみの診療科は4科あり、このうち脳外科など3科は医師の確保ができないことが原因となっている。