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【国際】

『中国支配下人権ない』 『ウイグルの母』本紙と会見

2007年11月9日 朝刊

 初来日した在米ウイグル人人権活動家で「ウイグルの母」と呼ばれるラビア・カーディルさん(60)が八日、東京都内で本紙と会見し、「中国の支配を受けるウイグル人には基本的人権すら与えられていない」と述べ、国際社会が中国に抑圧政策をやめるよう圧力をかけるべきだと訴えた。

 カーディルさんは、中国・新疆ウイグル自治区に住むウイグル人が教育や就業などで差別されたり、民族文化が抑圧されていると指摘。「中国の政策に反対する人は『国家分裂主義者』の扱いを受け、逮捕されれば、弁護士もいない裁判で死刑や無期懲役に処せられている」と話した。今年前半だけで逮捕されたウイグル人は四千九百人に上るという。

 カーディルさんによると、中国当局は五月、ウイグル人が所持するパスポートの没収を始め、海外渡航を不可能にした。北京五輪を来年に控え、ウイグルの現状が外部に伝わらないようにする狙いとみられ、「五輪が成功し、中国がもっと力をつければ、ウイグルの状況はさらに悪くなる」と危機感を示した。

 同自治区出身のカーディルさんは、中国の国政諮問機関・全国人民政治協商会議委員も務めた模範的な共産党員だったが、指導部を批判したため一九九九年に投獄された。二〇〇五年に釈放された後、米国に亡命。中国政府が危険視する人物の一人で、ノーベル平和賞候補に挙がったこともある。 (外報部・浅井正智)

 

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