紙端国体劇場デジタル

ゆるかったりゆるくなかったり鉄道だったりを擬人化して遊んでる隅っこサークル。
全裸大好きな管理人が羞恥心に負けて半裸で営業するブログです。
意味のわからない人は、アレだ、とりあえず脱げ。
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宇都宮×高崎と時々上越上官
ベストオブ「こいつだけには物事を頼みたくない」と言えば、言わずと知れた彼のことであって。なので自分も当然として出来れば絶対に、この男だけには頼みごとをしようとは思わなかった、が、今は他に思い当たる人物が居ない。
何度目かの深い溜息を吐き出した後で、高崎は思い切って目の前のドアをノックした。その拍子に脳内に陽気な音楽が流れ出す「これから始まる泥沼レース♪」
「はい」ドアの向こうから聞こえてきた返事に小さく息を飲んで、重い気持ちで言葉を紡いだ。
「あー…宇都宮…あの…オレだけど」
と、ドアの向こうで生活音が響き、こちらに向かう足音が聞こえ、ドアの開く音と共に自分の顔を確認するかのように凝視してきた視線。意外なことに自分の来訪を相手は驚いているようだった。
「高崎?どうしたのさ、こんな夜中に」
「あの…さ…セーター貸してくんね?あの…オレ持ってんの穴開いてて、しまう時防虫剤入れ忘れて」
「高崎、それなに?」
続く言葉を遮ってワイシャツの襟元をぐいっと引っ張られる。思わず前のめりになった身体を入り口の壁で支えて、首元に近付く宇都宮の視線を避けた。
「首輪でしょ、それ。どうしたの?」
「あの…色々事情があって…その…」
「どうしたの?」
普段から機嫌が悪いときひたすら笑顔の宇都宮の声に険が混じるのを感じて、僅かに身体を硬くした。首に巻かれている犬用の首輪をじっと見つめていた宇都宮がその隙間についと一指し指を差し込みくっと強めに引っ張った。喉が絞まる。
「やめろよ…取れねぇから痛いんだよ、それ…」
「ほんとだね、ここに鍵穴が付いてる。結構簡素だからすぐ壊れそうだけど」
言うなり差し込んだ指を強く引いた宇都宮の所為で支え切れなかった身体が前面に引き倒された。あ、と反応したときには既に腕の中に抱え込まれている。相変わらず差し込んだ指を外さない宇都宮に苦情を言おうと視線を上向けた。
「やっぱ、これくらいじゃ外れないか、流石に」
「宇都宮…!」
「ねぇ、本当にどうしたの?これ」
言葉の意味にどうした、では無く、誰にやられた、という意思を含ませて、普段早々に変化の無い宇都宮の視線が鋭く刺さる。反抗しようとした言葉を引っ込めたのは、一重にそんな彼に恐怖を感じたからだった。表情には決して出さないが。
俯かせた視線の先を追うように仕方無く言葉を吐かされた。
「上越上官に付けられた」
突っぱねるように出した言葉に、身体に触れていた宇都宮の手に力が込められたのがわかった。ほんの少しだけ、宇都宮が沈黙したような気がした。
「なんで」
「寒かったから…」
「……は?」
寒かったから、巻かれた。高崎の呟いた言葉の意味が解せず鸚鵡返しに「なんで?」と問えば、またしても逸らした視線のままぶっきらぼうに答えられた。
「今日、夕方から急に寒くなっただろ、それで、マフラー…巻いてたら、上官に会って、そんで、今の時期からそんなの付けてたら冬が越せないとか、何とか言われて、代わりにこれ巻いてあげるって、言われて……付けられた」
「何故拒否をしない」
「出来るわけねーだろ!だって上官だぞ!!」
思わず突っ込みのように入ってしまった宇都宮の言葉に反射的に返した高崎が、自分の首に付いている首輪を両手で握り締めた。ぐいっと両手で引き千切ろうとして、何度か力を込めて、最後に深い溜息を吐いて、力無く両腕を下に下ろした。
「しかも…取れないし…」
「鍵かかってるからねぇ…」
「うつのみやぁ…」
話していたら自分の姿に空しくなったのか、高崎が涙声で宇都宮の名前を呼んだ。続く言葉を捜せずにただずずっと鼻をすする。全身で「これどうしたらいいんだろう」という悲壮なオーラが漂い出ていて、見ているこっちが居たたまれなくなった。
「おいで、高崎」
半泣きになっている高崎の肩を抱いて靴を脱がせ、そのまま部屋に上げる。ベットの上に座らせて部屋の奥に仕舞い込んだ工具箱を探し出してきた。高崎、と相変わらずベットの上でグズグズ鼻を鳴らしている彼に声を掛ける。
「顔上に上げて」
言えば素直に上向いた顔の、顎をついと左手の先で固定した。「ちょっと冷たいけど騒がないでね」
首元に差し込んだ工具用のハサミを閉じれば、鈍く何かが切れる音がして、パチン、と高い音が響いた。肩に何かが落ちて、そのまま膝の上に転がった。
「あ……」
「鍵が開かないんなら切ればいいんだよ」
全くね、と続けた宇都宮がハサミを工具入れに戻し、また部屋の奥へ引っ込んでいった。その姿を目で追って、見えなく成った背中から視線を膝の上に落とす。落ちた首輪を右手で掴み上げてじっと見つめた。
「なに?付けていたかった?」
「まさか!……うん……」
なに?まだ何か不安があるの?沈む高崎に声を掛ければ俯いた顔のまま小さく言葉を吐いた。
「明日…付けてないって怒られたら…どうしよう……」
言われた言葉に目を丸くした宇都宮が、数秒遅れて高崎をハッ!と軽く笑い飛ばした。
「年功序列か?体育会系はこれだから」
「だって…怒られたらこえーじゃんか…上官……」
「きみは馬鹿なのか高崎、どうみても悪いのは向こうだろう、そんなもの付けて業務なんて規則違反も甚だしいよ。何なら僕から言っておいてあげようか?これは立派なパワハラだってさ」
「でも…上官だし……」
「高崎っ!」
俯く顔が気に食わなくて短い髪を鷲掴んで強制的に上向けた。驚いた顔の高崎が呆然と自分を見上げていて、その姿にまた腹が立ち、そのまま叩き付けるようにベットに押し倒した。
「僕は今とても機嫌が悪いがそれは君の所為だと解っているかい」
「宇都宮…髪…放せ…っ!」
「きみは誰のものだキミは誰が一番だキミは誰の命令を聞くんだお前はあの男が股開けって言ったら開くのかお前は」
「うつのみやっ!」
叫ばれた声でふっと我に返った。怯えているような、泣いているような顔の高崎が自分の下にあり、思わず右手で頬を撫で上げた。開かれていた目が反応するように閉じる。撫でた手を首元に持っていき、首輪の痕をなぞる様に触れた。静かに唇を近づける。
「っ痛!何して…!」
「誰のものかはっきりさせておこうと思って」
「誰って……」
「残念だけど、僕はきみの上官がとても嫌いみたいだよ、高崎」
赤くなった痕を指先で撫でながら、食えない笑顔で微笑む自分よりも上位の男を思い出した。記憶だけで苛付かせる事が出来るのもかなりの物だと感心する。故意なのか、ただの気まぐれなのか、まずはそこを確認しないといけない、早急に。
「明日から忙しくなりそう、困ったな」
「…?臨時列車の運行なんてねーぞ」
何も解っていない高崎を見下ろしながら、思わず漏れた苦笑を隠さずに、そうだねぇ、と返した。
「でもね、僕はきみのそういうところ、割と好きなんだ」


「なんだい、それ」
無口な同僚が普段見慣れない物を持っていたので思わず声を掛けた。両腕の中にじゃらっと響く音の正体は、恐らく犬用の鎖だ、しかしそれにしても妙な部分に留め金があった。物珍しげに見ていた自分をちょいちょいと指先だけで呼び寄せ、そのまま止まれ、と合図を出す。制服の胸元に掛けられた指が警笛の紐を静かに外した、と。
「………何だよ…これ…」
警笛の代わりに彼の持っていた鎖を付けられた上越がジャラジャラなる胸元の重みにうんざりとした顔をした。事の発端を同じように目で見たら、顎に手を当てて納得するようにうんうんと頷いている。
「だから何、これは」
「鎖だ」
「いやうん…だからなんでこんなもの…」
「お前に似合うと、わたしの部下が」
え、と聞き返す間もなく、「やる」と告げられる。こんなものいらないよ、と返しつつ外そうとしたが、生憎と布地に噛むように付けられてしまっていたそれは容易に外せそうも無く、思わず顔を上げ、ちょっと!と文句を言おうとした時には既に相手の姿は視界から消えていた。
「え…えぇー……」
今日一日このままなの?と思い、それは流石にごめん蒙る、と上着を脱ぎ捨てれば白いワイシャツの上を秋の風か冷たく撫でた。有り得ない、脱ぐ事は有り得ない、今は夏じゃない。
冷える廊下で口惜しげに上着を着込みながら、姿も解らぬ彼の部下にありったけの暴言を吐き付けた。



お誕生日のお祝い返し、宇都宮×高崎編。
何だか途中グダグダですいません本当に。
祝いありがとうございますー!



| ■ひっそりとなにか | 02:23 | - | - |
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