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危険運転に初の求刑30年 尼崎の飲酒運転3人死亡事故

2007年11月14日

 兵庫県尼崎市で6月、飲酒運転で二つの事故を起こし、歩行者やタクシーの乗客ら3人を死亡させたとして、危険運転致死罪に問われた建設業宮田和弘被告(50)=大阪府豊中市庄内栄町1丁目=の論告求刑公判が14日、神戸地裁尼崎支部であった。検察側は二つの事故を併合し、有期刑では最も重い懲役30年を求刑した。12月19日に判決が言い渡される。

 検察側は論告で、飲酒運転の常習者であった宮田被告が、事故当日に約15時間にわたりビールと焼酎を飲み、周囲の制止を無視してワゴン車を運転したことについて「規範意識が欠如し、人命を尊重する気持ちが欠落している」と指摘。「危険運転致死罪の施行以降、異なる時間、場所、事故態様で2回の事故を起こし、各事故で人を死亡させた事案は本件が初めて」と述べた。

 弁護側は、被告が反省していることや社会的な制裁を受けたことなどを理由に情状酌量を訴えた。最後に宮田被告が「遺族の方々に申し訳ないことをした。本当にすいません」と述べ、結審した。

 タクシーの乗客で死亡した松村美津子さん(当時68)=兵庫県尼崎市=の長男、継未(つぐみ)さん(43)は公判後、「納得はできないが、今の制度では最長なので、30年の実刑を期待します」と話した。

 05年に改正刑法が施行され、併合罪の有期刑の上限が20年から30年に引き上げられた。併合罪の最高刑は、最も重い罪の最高刑の1・5倍で、各罪の最高刑の合計を上限と定めており、二つの危険運転致死罪(最高刑は懲役20年)の場合は懲役30年となる。

 福岡市の飲酒事故では、危険運転致死傷罪と道交法違反(ひき逃げ)=当時の最高刑は5年=の罪の併合罪で、検察側は懲役25年を求刑している。

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