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自殺未遂者の4割「過去にも」/横浜市大調査
- 社会
- 2007/11/14
自殺を図って一命を取り留めた人のうち、四割以上が過去にも未遂歴のあることが、横浜市大精神医学教室自殺予防研究チームの調査で明らかになった。年間の自殺者が九年連続で三万人を超えて自殺対策が待ったなしの課題となる中、「未遂者へのケア」が重要な課題であることをあらためて示した形だ。
調査対象となったのは、二〇〇三年度以降、同大付属の市民総合医療センター(横浜市南区浦舟町)の高度救命救急センターに搬送され、入院した自殺未遂者。
このうち、〇七年七月までの計五百五十四人(男性二百二十二人、女性三百三十二人)に対し、過去に自殺を図った経験があるかどうかを聞き取り調査した。
その結果、「経験がない」としたのは48・1%、「一回」21・8%、「二回以上」18・8%で、回数ははっきりしないが「複数回」と答えた人を含めると、41・8%が過去に未遂歴を有していた。
自殺未遂者が再び自殺を図る危険性については、自殺者の約半数に自殺未遂歴があると海外の先行研究の事例もあり、研究者の間ではこれまでも未遂歴が「自殺の大きな危険因子」とされてきた。横浜市大の研究チームの今回の調査は、その定説を国内のデータでも裏打ちした格好となった。
自殺を図った原因は健康問題が21・9%で最多で、以下、家庭問題、家庭以外の人間関係、経済問題、仕事上の問題と続いた。また、全体の約8割がうつ病や適応障害などの精神疾患を抱えていたことも分かった。
研究チームのリーダーの河西千秋・同大准教授は「自殺者を少しでも減らす上で、自殺リスクの高い未遂者へのケアが、いかに大切かを示すデータ。医療面だけでなく、退院後のフォローなど総合的な対策が求められている」と話している。
昨年一年間の県内の自殺者は千六百八十三人。同じ年の交通事故による死者数二百四十人の約七倍に達している。
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