世界にはどの様な盗聴器が有るの? |
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はじめに 第二次世界大戦以後東西冷戦中の真っ只中、1952年モスクワのアメリカ大使館で大使の机の背後にかかった木製のアメリカ国章の中から全く電源を使用せず外部からの操作で盗聴電波を発信する型の盗聴器(受動式空洞共振送信機)が発見されその後、大使館改修の際に米国大使館の支柱のレンガの中よりソ連製のものと思われる盗聴器が巧みにX線をかく乱させる技術を駆使し、発見から逃れる様仕掛けられ発見された事件は有名な話です。此れにより今まで電話会社の協力のもと主に有線式盗聴器に頼っていた米国中央情報局(CIA)は驚きと情報収集技術の発展の必要性を痛切に感じたといいます。その後米国CIAおよびソ連邦KGBによる東西冷戦をより有利に進めようと情報収集戦がよりヒートアップし現在様々な驚くべき方法で盗聴、盗撮、情報収集の方法が考案、開発され、現在米国では世界最高レベルの盗聴、盗撮機器が生まれて来ており、その一部が現在民間に流れて来て様々な分野の技術発展に貢献されて来ている訳です。その開発された技術水準がどれほどの物なのかは米国国民および世界中のセキュリティーに関わる人達にとっても非常に気になるところです。しかしCIAおよび米国連邦警察(FBI)はこれらの技術を国家機密とみなしなかなか正式に公表しようとはしない様です。ただ一部ネット上に流れる情報や書籍から得られる情報、海外発見業者(調査機関)が掴んでいる情報の一部を此処で紹介したいと思います。 |
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●エシュロン 1950年頃から行われているとされる、米国国家安全保障局(NSA)が中心になり第一次加盟国アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドの各国間でのシギント(各関係国間での通信、電磁波、信号等を媒介とした謀報活動についての条約)により各国で役割の分担、技術協力を行いテロリストの脅威、違法な武器の取り引き、麻薬の不法取引およびそのようなものを識別するために世界規模の専用ネットワーク網を構築しあらゆる電話での会話ファクシミリまたは電子メールメッセージ、携帯電話や無線通信、インターネット回線上に流れる音声、データを音声認識技術等によりテキストデータベース化し保存、また高度な暗号解読技術(通常レベルの暗号であればほんの僅かの時間で解読可能と言う)を駆使し大規模なデータ蓄積(世界中の人口のデータを一人あたり新聞800ページ分のデータ蓄積能力があるとされる)を行い、名前およびキーワードのリストを使用し必要とされる情報を導き出す事が出来るシステム。 その実態は以前不明であるがあらゆる衛星通信の傍受、インターネット上のサーバや各国間に繋がれた海底ケーブルに流れる電話やファックスの内容などを傍受する為、極秘に接続点を設けスパイ偵察衛星と地上の基地局のネットワークとのデータなどともリンクさせ世界中で数万人以上いると言われる専属要員を各国の基地局に配備させた上で世界中に流れる情報の全てを監視させているといわれる世界規模のスパイ、情報盗聴システム。またこのプログラムの特徴として犯罪捜査のみならずその他の情報収集にも応用が可能で個々が要求されるあらゆるキーワードをフイルターし情報を導き出すことが出来、世界の関係機関に売買されているとされている。 |
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●テンペスト コンピュータやそれらの周辺機器そして其れらの機器を繋ぐコードなどから漏れる電磁波から情報を盗み出す方法の総称をテンペストという。またパソコンやテレビなどのCRT上に表示した情報から盗聴者までに再構築されることができるアンテナと受信機、電磁波増幅器とコンピュータのような容易に利用可能なコンポーネントを使って手元のモニターで画像を復元する高速のアナログ-ディジタル・コンバータの事をいう。 2002年頃、当初日本で発表された時点ではフルセットでの価格が数千万円していたものと同様のものが現在では100万円程度で構築できるという。 ここ最近、各方面で情報セキュリティーに多くの人々が関心の目を向けられる中、この装置に特に関心を持たれる事が多いのもその為でしょうか。 このシステムの盗聴方法としては1、アンテナから直接電磁波を受ける方法、2、伝道放射と呼ばれる電源ケーブルやLAN配線から漏れる電磁波ノイズをジャンクションプローブを使い装置に直接入力させる方法がある。また電源ケーブルに流れる伝道放射を利用した盗聴の場合、同じ変圧器以下の地域にある各家庭のパソコンであれば十分盗聴の対象になるといいます。たとえ同じ部屋に複数台のパソコンが有ったとしても各パソコンから漏れる電磁波の周波数の微妙な違いから使っているパソコンの個々の機種を絞った盗聴が可能です。 これを防ぐ方法として1、パソコンを購入の際VCCI(情報処理装置等電波障害自主規制協議会)で定められたVCCIのクラスBか出来ればCの製品を選ぶ。2、LANケーブルに電磁波の影響を考慮したシールドタイプの物を使用する。3、パソコンや周辺機器とAC電源の間に電源ノイズフィルターを使用しパソコンから漏れる高周波電流を遮断し情報漏洩を防ぐ対策を取る。4、パソコンやその他の周辺機器(特にCRT周辺)をパソコン用電磁波シールド布で囲うなどの対策を行う事が必要でしょう。 |
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●他人の携帯電話を離れた場所から盗聴器に変身させる技術(ロービングバグ) 最近、米国連邦捜査局(FBI)が携帯電話を利用した外部からのリモート操作で本人が知らないうちに自動着信動作する携帯電話型盗聴器を開発した模様。この技術は全ての携帯電話のキャリアや機種で可能ではないが、現在世界で使用される携帯電話の一部の機種(Motorola「Razr」、Nextel、Samsung製)で可能であると言う。 その内容は携帯電話に使われるプログラムのOS内にスパイプログラムをダウンロードさせる方法やブルーツース等の無線送信技術を利用しその電話機を他人が直接操作する事無く、携帯電話内部のプログラムを書き換える事に依り本人の知らないうちに携帯電話を盗聴器化してしまおうと言う技術が開発された。尚この装置は内部にバッテリーさえ装着されていれば電源を切っていてもベルを鳴らさず完全に動作可能との事。 |
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●電源を必要としないリモコン盗聴器(受動式空洞共振送信機) 1952年モスクワのアメリカ大使館の木製国章のなかより発見された盗聴器の内部構造を下の図で示している。このモデルは無給電リモート動作型盗聴器として動作させる為、建物の外部より盗聴に必要な時間だけ盗聴器の外部に出ているアンテナに対し高周波電磁波をこの盗聴器に向けて非常に狭い範囲で放射し其れを電源として利用し、空洞共振器により音声変調された電波をアンテナから再放射させる方式を取っている。 下の図で解説しているものは330MHzを使用するタイプの物であるが、大きさは縦横6.3センチ、奥行き1.3センチの本体に長さ22.5センチのロッドアンテナがついていたと言う。現在アメリカでは此れをさらに改良し周波数を高くした、より小型にしたものも開発されていると言う。 |
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●リモートコントロール操作出来る天道虫型マイクロロボット盗聴器 米国マサチューセッツ工科大学が開発したもので全ての部品をシリコン半導体で構成させ、其れを微細なマイクロ加工し出来上がったマイクロロボット盗聴器。子細は不明だが壁をよじ登り盗聴者の近くまでリモートコントロール操作により移動できるとの記述有り。 |
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●米粒大の超小型盗聴器 1990年代米国で毎年1回開催される「プライベートショウ」(盗聴器関連の展示会)で発表されたとされる。その送信距離は10Km以上、送信出力がなんと1Wを有するという盗聴器。(図解盗聴撃退マニュアル藤田悟著より) 現在はこれらの特殊盗聴器の殆どが無線送信するタイプの盗聴器の殆どがリモートコントロールに拠る操作で発信できるものが大半を占めていると言う。その他秘匿性を向上させる為デジタル方式化された盗聴方法などが存在し現在100種類以上の盗聴方法が考え出され実用化されたという。その中で現在判明しているものとして数点の例を以下に紹介致します。 ●マイクで拾った音声を発見されやすい電波を使わずに、人の可聴帯域(20Hz〜20KHz)より高い周波数の音声信号である超音波(20KHz以上の空気の振動帯域のこと)に変換し部屋の音声を外部に伝送する方式。 ●CW波を使用し信号を暗号化し圧縮し送信する方法 ●デジタル周波数ホッピング技術(DS方式、FH方式、CDMA,,Bluetoothなど)を利用した秘匿デジタル伝送方式 ●音声をデジタル化したのち高圧縮化技術でデータを非常に小さくした後、数秒間の音声を1/1000秒のデジタル信号として間欠パルス送信する方式 ●TV放送などの強く放射されている電波の周波数と近接した周波数に微弱で非常に狭帯域の電波を使う方法 ●ボタンより小さい指先に乗るICレコーダーの利用 ●紙の様に薄いエポキシ樹脂で覆われた電池と厚みを極限まで減らせた盗聴器を組み合わせ本のカバー紙の間や表紙の厚紙の中に埋めこむ方法(名称:カバーバグ 上から2番目の写真) ●右の写真のドライバーで示した部分はコンセント内部に仕掛けられた超小型盗聴器 ●一番下の写真は人の体温により発電する音声盗聴器 (一部ADVANCED ERECTRONIC SECURITY.COより紹介しています) |
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●長波帯を使用した有線式盗聴器 卓上ランプなどのAC電源を使用した機器の中や電話器内部に盗聴器を仕込み通常の受信機で受信,復調できない極低周波領域(300KHz以下)を使う為なかなか発見に漕ぎ着けないと言う。 現在でも米国の住宅事情からか警察組織ではこの様な有線式の盗聴が多く行われている様です。 また有線式盗聴器としては音声信号をデジタル処理しLEDで発生させた赤外線パルスに変換した後、信号の伝送に光ファイバーを使用する方式や電話機の送話器内部の配線を変更し受話器を取らない状態で常に電話回線を使った盗聴を行うホットマイク型盗聴器(この場合電話機から交換機までの間で受信機を接続させる方法をとる) |
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●電話回線非接触型盗聴器 ターゲットになる電話回線にある特定の付帯設備を取り付け誘導コイルより電線に流れる音声信号を拾いあげ専用電話器で盗聴を行う方法。この方式は電話回線専用調査機材等での検出は不可能。 |
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●猫を利用した動物体内内臓盗聴器 1960年代ロシア側の情報を盗むべくCIAが開発した生体動物の体内に手術を施し盗聴器を埋め込み、また脳に配線を施した上で猫の習性を利用しロシア要人の建物周辺の窓の下、公園のベンチなどで体を横たわらせ盗聴を行ったと言う。 |
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●歯に埋め込む盗聴器 一般に、エシュロン(ECHELON)は電話線や海底ケーブルの盗聴を主体にして いるという誤認があるが、実際はシギント(無線諜報)を主体にするもので あり、欧州連合が発表した通信傍受能力2000においてもその事が示唆 さ れている。そしてエシュロン(ECHELON)におけるシギント(SIGINT:signal intelligence:無線諜報)の根幹を成しているのが歯科治療によって歯に埋め 込まれた盗聴器である。歯の盗聴機は、クラウンやインプラント、差し歯、 入れ歯のような形で人体に装着される。このような場所に盗聴機を埋め込む 利点としては、部屋や身の回り品に盗聴機を装着した場合、盗聴する範囲が 限定されるのに対して、歯の盗聴機の場合、対象者を24時間いつでもどこ でも盗聴でき、しかも発見されにくいといためである。 歯の盗聴機(補聴器)の歴史は古く、アメリカで一番古いもので1939年 より基礎技術が特許として申請されている。(米国特許参照)その後も改良型が随時開発され、特許申請がなされている。 歯 の盗聴機は人間が物を噛む時にかかる圧力や体熱発電、RFID(ICタグ)のような電波を利用した発電によっ て作動し、周囲の空気音を録音する微少なマイクロフォンやそれを通信所に 送信する送信機だけでなく、GPS追跡機や骨伝導スピーカー、思考を読み 取る生体磁気計測器を内蔵するなど多くの型式が存在するが、どのような機 能を搭載するかはその対象人物の重要度によって判断される。歯の盗聴機を 装着する際には、骨伝導音が伝導しやすい下あごに接する歯に装着するとと もに、音声を立体的に表現(ステレオ化)するため、歯の盗聴機を左右に一 本ずつ配備するのが一般的である。 (サイト名 はてなダイアリー>歯に埋め込む盗聴器 より一部抜粋) |
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●医療用デジタル情報発信機 右の写真は長さ11.5mmで主に医療用に開発された物で有るが、体の血圧(脈拍)や体温などのデータおよび音声をパルス間隔変調(PIM)でデジタル化し送信する。又送信距離は1〜3メートルであるが液体発電により6ヶ月の使用が可能。 |
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●糞(ドゥー)型位置確認用発信機 1970年代、米国軍がミッションにおいて標的の家や場所の特定をし易くする為、犬などの動物の糞に形を偽装しおよそ3〜4キロ離れた所から場所の特定に使われたと言う。下の写真は内部のX線写真を載せている。 |
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●偽装型盗聴器 通常盗聴器は剥き出しのまま仕掛けた場合、被対象者に発見され易くまた其れが発見された場合、それ自身が証拠になってしまう為家庭やオフィスで見かける普通の電気製品の中に一見して見分けが付かない様、予め偽装された形で販売される。(米国では乾電池やコンセントの差込プラグの中、灰皿の中、電話の受話器の中などに盗聴器が仕込まれていたと言う。) |
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●赤外線通信装置LIG3 赤外線通信装置は赤外線の見えないビームを使って最大3キロの間で交信される。交信をうまく行う為には、交信する2点間の視界を遮らないことが必要である。赤外線通信装置は昼夜をいとわず可能で有るが霧や豪雨では性能が著しく低下すると言う欠点がある。尚、交信には右の写真の物を2セット用意する必要がある。 また電波を使用しないためビルの屋上等で旨く設置した場合相手に感付かれずまた交信内容を盗み見られないという特徴も持つ。 右の写真は1970年代に開発された物で現在はより小型化されたものが使用される。 |
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●盗聴器用細線敷設キット 盗聴器が仕掛けられる場所は何も電化製品の中や日用品の中だけとは限りません。より対象者の近くにマイクを近付ける必要が有る場合や発見のリスクから逃れる為、マイクの更なる小型化、コンクリートマイクやニードルマイクの原型になった物や壁に穴を開けて行き貫通しない寸前の所でマイクのセンサー部分を接触させ効率よく音声を拾うタイプのものも開発されています。さらに盗聴器設置の自由度を上げる為マイクと送信機本体または電源までの配線を殆ど目に見えない迄に細線化し壁のひびぞいに敷設したり、柔らかい壁材などに直接埋め込むことが出来る盗聴器用細線敷設キットが存在している。(右の写真) さらにマイクを設置した後は壁を補修したり塗装したりして設置の痕を隠す為の特製リペアキットも同様に用意されていると言われる。 ・最近では電線の代わりにコードの表面や壁などに導電性のペンキを細く塗る方法なども開発されている。 |
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●壁裏人体透視装置 カメラを仕掛けられない密閉された部屋の中にいる人間の人数や位置、人の動きなどを部屋の外の壁やドアに人体から出る微弱電磁波を検知するセンサーを複数個取り付け、センサー間に到達する人体から出る電磁波の微妙な時間差、強度差を計算した後、ノートパソコンで画像処理し表示する。即ち人の行動を透視する装置。 (ディスカバリーチャンネル放送内容より) |
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