医師不足の影響などで経営難に陥っている敦賀市立敦賀病院について、市の「病院あり方検討委員会」(委員長=松田朗・日本医業経営コンサルタント協会長)はこのほど、病院の経営独立性を強めることなどを求める答申を河瀬一治市長に提出した。
同病院は02年度に約72億円あった収益が、06年度は約55億円にまで減少。市が支払う運営補てん金は、05年度は約12億8000万円、06年度は約8億6000万円に上っている。
答申で、検討委は「赤字経営が恒常化し、危機的な収支構造にある」と指摘。外来患者数を抑制し、高報酬が見込める高度な入院診療中心に移行するよう求めた。さらに病院の運営責任者を現在の市長から、別途任命する「病院事業管理者」に移して組織の独立性を高め、職員の給与設定も市とは別に行えるようにすることも提案している。
答申作成に当たって実施した市民アンケートでは、敦賀病院以外に通う理由として、▽敦賀病院の評判が悪い(53・1%)▽他病院のほうが専門的な診療科がある(42・8%)▽医療安全面で信頼できない(37・2%)--などの意見が続出。答申では「市民ニーズに十分応え切れず、敦賀病院を受診してしかるべき患者も他病院に流れている」との問題点も示した。
河瀬市長は「非常に重く受け止めている。内容を十分検討し、できるところから着実に進めていきたい」としている。【平野光芳】
毎日新聞 2007年11月14日