池内ひろ美さんよりモラハラ被害者のみなさまへ緊急メッセージ   


 
モラハラ被害の防止と被害者の救済に協力します

 先般、モラハラを研究しその対応にあたっている荘司雅彦弁護士か ら、モラルハラスメント被害防止と被害者救済に協力してほしいとの連 絡を受けました。  離婚相談をはじめとする夫婦のトラブルや親子関係のご相談にあたら せていただいている私自身、様々なモラハラ被害を受けた悲惨な被害者 の方々をたくさん目の当たりにしていますし、配偶者間だけにとどまら ず子どもにまで及ぶ被害の大きさを深く考えさせられています。

 日本では、モラハラ自体の認知度が低いために、相談先で二次被害を 受ける方もいらっしゃいます。家庭裁判所でモラハラという言葉を使っ ただけで生意気な女性だと扱われた方もいらっしゃいますし、離婚相談 に行った先で、あろうことか反撃を勧められ、夫からさらなる被害を受 けた方もいらっしゃいます。モラハラはそれほど単純な構図ではありま せん。

 私は、1990年代からDV(ドメスティック・バイオレンス)の被 害者救済を活動のなかに入れており、個人相談だけでなく各地での講 演、レポート「日本の女性と子どもの人権についてのレポート:ドメス ティック・バイオレンス(2001年10月)」 等行なっておりますが、DVとモラハラは、その成り立ちが似通ってい ます。  加害者は自分のストレスを徐々に被害者に転嫁することで、被害者を 支配しコントロールします。相手を支配するためには加害者は平気で嘘 をつき、ときには反省の態度を見せながら被害者を孤立させ、罪悪感で いっぱいにさせます。  そのため、ご自身がモラハラ被害を受けていると自覚できません。自 分を被害者だと認めるのは、とても悲しく情けないことですし、勇気が 必要です。私のもとにはそういった方々もいらっしゃいます。

 外に向けてはいい顔をする穏やかな夫が家のなかで豹変し、一番身近 な配偶者、家族にだけ言葉と態度で暴力を行い、モラハラの被害を受け てやせ細り、頭痛に悩まされ、髪の毛が抜けてしまったと涙した人もい らっしゃいます。  彼女は誠実に真面目に結婚生活を行なってきました。夫の理不尽な要 求に対しても誠実に応えようと努力したからこそ結婚生活を続けてくる ことができたのです。しかし、モラハラ夫はそれを理解できません。彼 にとっては、妻を理解することが大切なのではなく、支配下におきコン トロールすることが目的ですから、結婚の意味も意識も彼女とは違いま す。

 モラハラは、加害者の心からの反省や矯正が困難な点ではDVの中でも 最悪のものです。精神的・身体的暴力などの行為は、それを行なう側が止めな いかぎり続くものです。被害者が過剰にご自身を責めないでくださいね。  DVだけでなく、DV規制法にかからないモラハラ被害救済に取り組んでいきま す。救済において必要な場合は、冒頭の荘司弁護士をはじめとする法律 家との連携、精神科医、心理カウンセラーとの連携もはかります。

 結婚は、本来とても温かで穏やかなものです。家庭とは、安心できる 場です。夫婦・家族といった、互いに大切にすべき人格に対して密室で 行われる卑怯な暴力は、精神的暴力であれ身体的暴力であれ、被害者だ けでなく子どもたちを守るためにも許すことはできません。

2007年10月 池内ひろ美  http://www.ikeuchi.com

     

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