
未収金に関する要綱の整備を進める公立能登病院の総合ロビー=七尾市藤橋町
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石川県内の病院で、患者による診療費の未払いが増えている。大半は生活の困窮が理由
だが、中には「治療に納得できない」などと支払い能力があっても払わないケースが見ら
れる。赤字経営が続く公立能登総合病院(七尾市)は徴収強化へ要綱整備に乗り出した。
各病院でも法的措置や会計窓口を二十四時間開設するなど、悪質な滞納者に対し、積極策
を講じる動きが広がっている。
県立中央病院(金沢市)では二〇〇五年度までの過年度未収金が九月末現在で約一億六
千万円(前年同月比約二千万円増)、県立高松病院(かほく市)では十月末現在で約三千
百万円(同約三百九十万円増)となった。金大附属病院(金沢市)では三月末現在で約九
千二十五万円に上り、多くの病院で未収金は増加傾向にある。
来年度の単年度黒字化を掲げる能登総合病院では、九月末現在の過年度未収金が約四千
百万円(同約三百五十万円増)に上った。同病院患者サービス課によると、大半は困窮が
理由だが、中には生活に余裕がありそうな患者の未払いもある。
「家を新築したので無理」「パチンコでお金を使ってしまった」。このような理由を挙
げて支払いを拒む患者がこれまでに複数いたという。職員は滞納者の自宅へ集金に足を運
ぶが、居留守を使われたり、怒鳴り返されることもあった。こうしたケースは、ここ二、
三年で増えているという。
これを受け、同病院は年内をめどに未収金に関する要綱の整備を進めている。約二十項
目を設け、滞納者の記録表の作成や、一カ月以上の未収金が発生した場合は電話で催促す
る―などと明記する。明らかに悪質なケースで滞納が六カ月を超えた場合、これまで踏み
切ったことのない訴訟を積極的に活用することも盛り込む考えだ。
県などによると、未収金に特化した要綱は県内では珍しく、神野善一経営本部長は「経
営改革の一環でもあり、医療サービスを受けた以上はきちんと支払いをお願いしていく」
と話している。
県立中央病院と県立高松病院は二〇〇五年度に裁判所が支払いを命じる支払い督促を導
入。今年四月には会計窓口を二十四時間対応にするなど徴収体制を強化している。金大附
属病院は裁判所命令の支払い督促について「導入を検討中」としている。
厚生労働省は六月に「医療機関の未収金問題に関する検討会」を開き、対策協議を始め
ている。