政府の教育再生会議は13日、首相官邸で合同分科会を開き、学校を外部から評価・監査するため、1月の第1次報告で提言した「教育水準保障機関」(仮称)設置構想を見送ることで合意した。国は一定の評価基準を示すにとどめ、実務は都道府県や市町村の教育委員会に委ねる方向で検討、12月の第3次報告に盛り込む。
第1次報告は「学校が教育内容について情報開示し、子供や保護者と意思疎通を図りながら運営することが、信頼感を高める」と指摘、厳格な外部評価制度の導入を打ち出した。
しかし、学校評議員や学校運営協議会などの制度がすでにあり、この日の合同分科会では「機関の設置は屋上屋になる」といった慎重意見が大勢を占めた。今後、学力向上やいじめ問題への取り組みなど、国の評価基準を具体的に検討。自治体が一定の範囲で独自に評価基準を設けることも認める方針だ。
一方、各教委が教員人事などを自己評価して議会に報告する仕組みが来年4月に始まることを踏まえ、第1次報告で明記した教委に対する外部評価制度の導入も撤回する。こうした判断は、福田康夫内閣のもとで「穏健路線」に転換したことを示すものだ。
合同分科会では学校ごとの教員の「公募制」導入、教員が得意分野をアピールして希望校に転勤できる「フリーエージェント制」などの案も示され、引き続き検討することになった。【佐藤丈一】
毎日新聞 2007年11月13日 22時22分