福岡県筑前町で昨年10月、三輪中2年の森啓祐君=当時(13)=がいじめを苦に自殺した問題で、福岡法務局は13日、個人情報保護法に基づき遺族が公開申請していた調査記録を部分開示した。法務省によると、いじめ自殺の調査記録の開示は3件目という。

 開示対象は人権侵犯記録と題する計441枚分。しかし「開示されれば調査の遂行に支障が出る恐れがある」との理由から、遺族からの聴取部分を除き、約9割が黒塗りだった。このため、遺族以外の調査対象や人数、聴取内容は一切、明らかにならなかった。

 開示後、記者会見した父順二さん(41)は「もう少し踏み込んだものが出てくるかと思ったが、がっかりした」と悔しさをにじませ、母美加さん(37)は「遺族が何も知らされない現状がいまだにあることが残念」と述べた。

 遺族は近く、法相に対する不服申し立てか、国に対して不開示処分取り消しを求める訴訟を起こす方針。

 同法務局は、森君へのいじめ行為に「人権侵犯性が認められた」と認定し、今年5月、前校長と、からかいにつながる言動をしていた1年時の男性担任教諭に反省を促す「説示」の措置をとった。現校長と町教委にも、再発防止などを求める「要請」をした。

 遺族は「調査の具体的内容を知りたい」として9月に記録の開示を申請。同法務局は回答を1カ月延長し、この日、開示した。

=2007/11/14付 西日本新聞朝刊=