年末年始、中国に行くことになった。
当初は北京周辺をのんびりまわろうかと思ったが、予定が4泊5日と比較的長く、北京だけでは持て余しそうなことに気がついた。そう考えたら好奇心の虫が騒いだ。 「国内線に乗ってシルクロードを見てこようか……」 思い立ったが吉日、早速ネットで中国の国内線について調べてみた。するとひとつの航空会社の名前が浮かび上がってきた。中国国際航空、エア・チャイナと呼ばれる、中国を代表する航空会社だ。 ちなみに、8月に那覇空港で機体が突如炎上したり、10年位前に名古屋空港で墜落するなど、度々トラブルを起こしている中華航空(チャイナエアライン)は台湾の航空会社で、エア・チャイナとは混同しやすいが、まったくの別会社だ。 「さすが中国を代表する航空会社、他のところとは違うねえ」 実は他の中国の航空会社も何社か日本支社があり、日本語のページがあり、開いてみたのだが、WEB予約をしているのはエア・チャイナだけだった。 喜び勇んで予約の画面を開いたまではよかったが、僕の希望が失望に変わるまでに時間はかからなかった。 予約といっても、日本や韓国の航空会社のHPで出来るリアルタイム予約ではなく、予約フォームに希望のフライトや人数を入力し、航空会社からの連絡を待つというものだ。 まあ、それに関してはそういうものだと思っていたので納得して連絡を待つことにした。そして翌日、返事が来た。予約が完了したということだった。ここから僕は、この会社の「恐ろしさ」を味わうことになるのである……。 そのメールの最後には振り込み金額のファイルが添付されていて、代金がレートによって変わるということなので、その日の午前中に振り込めという。しかも振り込んだ時の控えをわざわざファックスしろとも。 しかし僕がそのメールを読んだのは夜だった。 こういう経験は初めてだった。たとえ外国の航空会社でも日本での航空券の料金は決まっているのが常だったからだ。振り込む日によって料金が変わるということに思わず苦笑してしまった。 「まあ、しょせん中国の会社だからな……」 しかしその時点で振り込むだけの残高がなかった僕はクレジット決済が可能だと言うことだったので、そうすることにしたのだが……。 振込みの場合はチケットを郵送してくれるが、クレジットや現金払いの場合は直接日本支社まで来社せよとのこと。このあたりでは苦笑する余裕もなくなって、イラつきだした。僕は仕事をしているので平日に行くのはまず無理だ。土日営業しているかどうかを調べてみると、土日は完全に休みで、平日も午後5時30分までだという。まさに「お役所仕事」。 「なんて融通が利かないんだろう!」 それでも妥協策を模索しようとメールを返信する。上記の事情を書いた上で、クレジット決済でもチケットを送ってもらうように頼んでみるが、翌日帰ってきたメールに書いてあった内容にはとりつくしまがなかった。クレジット決済の場合は何が何でも来社せよとのことである。 これにはキレた。色々我慢していたがキレた。これが客商売か?! 僕は思いの丈をぶつけることにした。以下は僕がエア・チャイナに返信したメールの抜粋だ。 ◇ 決済の件ですが、今の世の中、ネット決済は当たり前だと思うのですが、御社はなぜそれを導入されないのでしょうか? しかもクレジット決済の場合はチケット郵送が出来ない上に支社まで行かなければならないというのは、融通が利かないし、利用者を馬鹿にしているのではないでしょうか? しかも御社のオフィスが土日のどちらかでも営業しているとか、平日でも夜7~8時くらいまで営業しているとか、旅行代理店でもチケットを発行できるいうのならまだしも、平日の5時半までしか営業していない会社にわざわざ出向くというのは社会人にとっては至難の業です。 JALやANAなど、日本の航空会社並に進んだサービスをしてくれと言うつもりはありませんが、WEB予約を受け付けている以上、ネット決済やチケット郵送は最低限対応していただきたいと思います。 色々苦言を呈させてもらいましたが、御社が日本でビジネスをするにはあまりにもその「姿勢」が「お役所仕事」で、柔軟性が見られず、利用者の立場に立った利便性についてほとんど考えておられず、傲慢さを感じましたので、あえてきついことを書かせていただきました。 余計なお世話かもしれませんが、このままでは御社が日本で顧客を増やすことは難しいでしょう。 ◇ それに対しての返信を以下に抜粋する。 ◇ クレジットカードの件につきまして、おっしゃる通りだと思います。お客様により良いサービスをご提供させて頂きたく、先月10月3日からWEBからのご予約を開始させて頂来ましたが、まだまだ改善を必要としております段階です。今現在時点では、お客様にWEB上でのクレジットカードご利用のサービスをご提供させて頂ける段階に至らないことを深くお詫び申し上げます。 ◇ 要するに「見切り発車」だったわけだ。僕の要求は彼らの「想定外」だったということか……。 「顧客第一主義」や「サービス競争」などとは無縁の国の企業が考える「サービス」などというものはしょせんこの程度のものなのだろう。こんな会社、日本だったら確実に潰れるだろう。 それでもこれが中国の航空会社では一番「マシ」なのだ。 こうした「つめの甘さ」が昨今の中国製品の問題に繋がってる、と考えるのは飛躍しすぎだろうか。 結局、給料日まで振込みを待ってもらうことになったのは不幸中の幸いだったが、思わぬ形で中国企業のサービスの質の低さを思い知らされた今回の一件で思い出した言葉がある。 日本企業でも半官半民の会社でサービスが悪い会社などは「親方日の丸」などと言うが、今回のエア・チャイナのそれは「親方五星紅旗(中国国旗)」といったところか……。 ここ数年の日本人の海外渡航先で中国はトップ3に入るという。リピーターが増えれば、北京や上海のような都市部だけでなく、一般の旅行者が行かないような街に行こうとする人は増えるだろう。 そんな「需要」が増えようとしている時に「供給」する側がこんなお粗末なことをしているようでは完全な「チャンスロス」に繋がるということを痛感してもらい、早く「サービス精神」を身に着けてもらいたいところだ。
総合17点(計26人)
※評価結果は定期的に反映されます。
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