串本町和深地区に伝わる巨大魚「大菜(おおな)」で町おこしを進めている和深釣りクラブ(谷正和会長)は、18日に旧和深中学校で開かれる和深文化祭で、大菜の展示と試食会をする。釣りクラブは「文化の再発見と継承で地域を盛り上げたい」と話している。 大菜の一般的な呼び名はイシナギ(スズキ科)。北日本から西日本にかけての深海の岩礁域に生息し、体長2メートルまで成長する。産卵のため水深約150メートルまで上がってくる5〜6月が漁期。菜の花が咲く時季から「大菜」の名が付いたとされる。 和深地区でも、かつてはよく釣れていた。地域ゆかりの魚となっているのは弘法大師の伝説から。冬のある日、空腹と寒さで疲れ切って和深にやってきた旅の僧侶に、地元の漁師が食事をもてなしたところ、僧侶はその礼にと沖合に大魚がいることを告げ、旅立った。漁師は春になって半信半疑で出漁すると、僧侶が告げた通りに大魚が釣れたという。 この地元の伝説を後世に継承しようと和深釣りクラブが2000年、イシナギの捕獲作戦を行った。今回は7年ぶりに試食会を企画した。 試食するのは、和深出身で大阪府在住の細谷和彦さんが今年7月に釣った体長1・5メートル、重さ60キロのイシナギ。 当日は午前8時半から会場で展示。「おおな」にちなみ高菜と一緒に煮る。試食は午前11時半からで、先着約300人。 会場では伝説に出てくる漁師の子孫とされる中崎弘志さん(74)が大菜の名の由来や伝説について説明する。 和深釣りクラブは今後も捕獲作戦をしたいという。作品展や バザーなど 多彩な催しも予定 和深文化祭は同祭実行委員会主催で、作品展示や舞台発表、バザーなど多彩な催しが予定されている。時間は午前8時半〜午後1時20分。 園児や児童、地元住民による生け花や俳句、絵、小物、盆栽、写真、木工品などを展示する。 舞台発表は午前9時半から。子ども会による和太鼓演奏や園児による踊り、児童による笛演奏や合唱、地元住民による踊りや手品、演奏などがある。 バザーは午前11時20分から。地元のグループなどによるマグロやシイタケ、サンマずし、焼きそば、たこ焼きなどの販売コーナーが並ぶ。 午後0時20分から児童と地元住民との交流会もある。 問い合わせは和深公民館(0735・67・0004)へ。